モバイルバッテリーの火災が、今、かつてないペースで増えています。2026年5月末までの東京消防庁管内のリチウムイオン電池関連火災は179件に達し、前年同期比で1.5倍という驚異的な伸びを示しています。年間では過去最多だった2025年の382件を軽く超えるペースです。しかも、出火製品のトップはモバイルバッテリーで92件。さらに驚くべきことに、充電中ではなく「充電していない状態」での発火も2025年だけで143件確認されています。
このデータが示すのは、モバイルバッテリーの火災は「他人事」ではなく、正しい知識と対策が必須の時代になったということ。あなたが今使っているモバイルバッテリーは大丈夫ですか?この記事では、最新の統計データと2026年4月から変わった新ルールを踏まえ、知らないと危険なモバイルバッテリー火災の実態と、今日からできる具体的な対策を徹底解説します。
モバイルバッテリー火災の現状をデータで見る
2025年、リチウムイオン電池関連の火災総件数は1,297件に上りました。このうちモバイルバッテリーが原因となったものは482件で、製品別で圧倒的なトップです。総務省消防庁の調査によると、モバイルバッテリーからの出火原因で最も多かったのは「外部からの衝撃」でした。
NITE(製品評価技術基盤機構)が発表した「2025年度事故情報収集報告書」でも、モバイルバッテリーを含む充電器の事故件数が製品群別で最多となっています。さらに、2020年から2024年までの5年間にNITEに報告されたリチウムイオン電池搭載製品の事故は1,860件。なんとその約85%にあたる1,587件が火災事故だったというデータもあります。
そして、2026年に入って状況はさらに深刻化しています。7月13日に東京消防庁が発表したデータでは、2026年5月末時点でリチウムイオン電池関連火災が179件。前年同期比で1.5倍です。このペースで進めば、2025年の382件を大きく上回ることは間違いないでしょう。
航空機内でのモバイルバッテリー使用禁止ルールがスタート
2026年4月24日から、国土交通省により航空機内でのモバイルバッテリーの使用が全面的に禁止されました。これはリチウムイオン電池からの発火事例を受けての措置です。機内への持ち込み自体は、160Wh以下の製品であれば最大2個まで認められていますが、使用は禁止されました。
つまり、飛行機の中でスマートフォンやタブレットにモバイルバッテリーをつないで充電することができなくなったということです。このルールは2026年4月以降の新しいものなので、まだ知らない人も多いはず。旅行や出張の前に必ず確認しておきましょう。
リサイクル義務化で変わったモバイルバッテリーの廃棄方法
2026年4月から、環境省の新制度によりモバイルバッテリーが「指定再資源化製品」に指定されました。これにより、メーカーに回収・リサイクル義務が課されることになったんです。
実は、2022年度の調査では、ごみ処理施設などにおけるリチウムイオン電池起因の不具合(発煙・発火)がなんと13,111件に上っています。被害総額は2021年度時点で約2億8,600万円にも達していました。モバイルバッテリーを普通のごみとして捨ててしまうと、収集車の中や処理施設で火災を引き起こすリスクが非常に高いんです。
新制度では、各メーカーが回収窓口を設置しています。捨て方に困ったら、まずは製品メーカーのホームページをチェックする習慣をつけましょう。
モバイルバッテリー火災のリスクが高まる5つのシチュエーション
ここからは、実際のデータに基づいて、どんな状況で火災リスクが高まるのかをランク付けしてみました。これを知っておくだけで、あなたの安全対策は格段にレベルアップします。
真夏の車内放置:リスクレベル★★★★★(非常に高い)
車内の高温はモバイルバッテリーの大敵です。特にダッシュボードの上など直射日光が当たる場所に放置すると、内部の温度が危険水域に達し、熱暴走を引き起こす可能性があります。NITEも夏場の事故増加を報告しており、実際に車のダッシュボード上で発火した事例も確認されています。夏の車内にモバイルバッテリーを置きっぱなしにするのは絶対にやめましょう。
バッテリーの膨張・異常発熱を無視:リスクレベル★★★★★(非常に高い)
モバイルバッテリーが膨らんできた、やけに熱くなるというのは、内部でガスが発生している危険なサインです。無理に押し込んだり、使用を続けたりすると発火に直結します。NITEもこのサインを見逃さないよう強く注意を呼びかけています。少しでも異常を感じたら、すぐに使用を中止してください。
強い衝撃(落下・圧迫)を与えた:リスクレベル★★★★☆(高い)
リチウムイオン電池は内部が精密にできています。落としたり、重いものを乗せたりして衝撃が加わると、内部ショートが発生するリスクがあります。総務省消防庁のデータでも、モバイルバッテリー火災の最多原因は「外部衝撃」とされています。バッグの中でほかの荷物に押しつぶされないよう、注意しましょう。
非純正品・粗悪品の使用:リスクレベル★★★★☆(高い)
安全装置が不十分な粗悪品の場合、過充電や異常が起きても保護機能が働かないことがあります。NITEもネット購入時の注意を呼びかけています。「安いから」「デザインがいいから」だけで選ぶのは危険です。PSEマークはもちろん、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが基本中の基本です。
充電中(目の届かない場所で):リスクレベル★★★☆☆(中程度)
東京消防庁のデータでは、2025年のモバイルバッテリー発火174件が充電中に発生しました。寝ている間や外出中に充電していると、異常に気づくのが遅れがちです。充電中はできるだけ目の届くところで行い、発熱がひどい場合はすぐに充電を中止しましょう。
意外と危険!充電していない状態での発火
ここで特に注目したいのが、充電していない状態での発火です。2025年だけで143件もの発火が、モバイルバッテリーが充電されていない状態で発生しています。
「使ってないから大丈夫」と思っていませんか?カバンの中に入れっぱなしにしていたら、知らないうちにスイッチが入ってしまった。長期間放置していたら劣化が進んでいた。そんなケースが実際に多く報告されています。使っていないからこそ、ちょっとした油断が火災を招くんです。
もし発火したらどうする?正しい消火方法
ここで一つ、混乱しやすいポイントをはっきりさせておきます。モバイルバッテリーが発火したときの消火方法です。
「リチウムイオン電池は水で消してはいけない」という情報が一部で出回っていますが、これは間違いです。消費者庁、東京消防庁、NITEの公式見解では、リチウムイオン電池火災には大量の水を使用した消火が有効とされています。
水は電池内部の熱を奪い、熱暴走を抑制する効果があります。油火災などとは性質がまったく違うので、ためらわずに水をかけてください。もちろん、すぐに119番通報するのも忘れずに。
あなたのモバイルバッテリーは大丈夫?安全チェックリスト
ここまでの内容を踏まえて、簡単なチェックリストを作りました。一つでも当てはまるものがあれば、早めの対策をおすすめします。
- 本体が膨らんでいる、または変形している
- 充電中に異常に熱くなる
- 3年以上使っている(バッテリーの寿命目安)
- カバンの中でよくほかの荷物と一緒に放り込んでいる
- 真夏の車内に置いたことがある
- 中国製の無名ブランド品を使っている
- 充電器を純正品以外で使っている
- 購入したメーカーのリコール情報を確認したことがない
一つでも当てはまるなら、買い替えや廃棄を検討するタイミングかもしれません。
モバイルバッテリーを安全に選ぶ・使う・捨てるルール
安全なモバイルバッテリーライフのためには、選ぶとき、使うとき、捨てるときの3つの段階で正しい知識が必要です。ここでは、記事の後半で紹介するおすすめ製品も参考にしながら、基本的なルールをおさらいしておきましょう。
安全なモバイルバッテリーの選び方
まずはPSEマークの有無を必ず確認しましょう。これは電気用品安全法に適合した製品に表示されるマークで、安全基準をクリアしている証拠です。信頼できるメーカーの製品を選ぶことももちろん重要です。
また、容量表示や認証マークがしっかり記載されているか、日本語の説明書が付属しているかもチェックポイント。あまりにも安すぎる製品は、安全性に妥協している可能性が高いです。
日常の使い方で気をつけること
持ち歩くときは、バッグの中でほかの金属製品(鍵やコインなど)と接触しないよう、専用ケースに入れるのが理想です。もし膨張や変形に気づいたら、絶対に使用を続けず、すぐに使用を中止してください。充電中はできるだけ目の届くところで行い、就寝中の充電は避けたほうが無難です。
正しい廃棄方法
リサイクル義務化でメーカー回収が進んでいますが、自治体によってもルールが異なります。お住まいの自治体のホームページで「モバイルバッテリー 廃棄」と検索し、指定された方法で処分するようにしましょう。絶対に燃えるゴミや不燃ゴミとして出してはいけません。
おすすめの安全なモバイルバッテリー
安全基準をクリアし、信頼できるメーカーの製品を紹介します。
Anker Power Bank 10000mAh モバイルバッテリー
Ankerは世界的に知名度が高く、PSEマークはもちろん、過充電保護や温度制御など多層の安全機構を搭載。初心者から上級者まで幅広く支持されています。
日本メーカーらしい堅実な設計で、万が一の事故に備えたPL保険にも加入。コストパフォーマンスに優れ、日々の使用に十分な性能を持っています。
cheero Flat 10000mAh モバイルバッテリー
薄型軽量で持ち運びやすく、PSEマークはもちろん、JET認証も取得済み。デザイン性と安全性を両立した製品です。
ZENDURE SuperMini 5K モバイルバッテリー
コンパクトながら高品質なバッテリーセルを採用し、航空機内持ち込みにも対応。海外旅行にも安心して持っていける信頼性の高い一台です。
どの製品も、安全基準を満たし、信頼できるメーカーのものです。予算やデザイン、容量の好みに合わせて選んでみてください。
モバイルバッテリー火災を防ぐために、今すぐできること
モバイルバッテリーの火災は、決して特別な条件下だけ起こるものではありません。2026年のデータが示すように、私たちのすぐ身近にあるリスクです。しかし、正しい知識を持ち、適切な対策をとれば、そのリスクは大幅に減らせます。
今日からできることをもう一度まとめておきましょう。
まずは、今使っているモバイルバッテリーをチェックしてください。膨らみや変形、異常な発熱はありませんか?もしあれば、すぐに使用を中止し、新しい製品への買い替えを検討してください。
次に、普段の使い方を見直しましょう。充電中はなるべく目の届くところで行う。カバンの中では衝撃や圧迫を避ける。車内に放置しない。この3つだけでも徹底するだけで、リスクは大きく減らせます。
最後に、廃棄方法を確認しておきましょう。古い製品を安全に処分することも、火災予防の重要な一歩です。自治体のルールを確認し、正しくリサイクルに出す習慣をつけてください。
モバイルバッテリーは、私たちの生活に欠かせない便利なアイテムです。しかし、その便利さの裏側にリスクがあることを忘れずに、安全に使い続けていきましょう。この記事で紹介したデータと対策が、あなたの安全なモバイルバッテリーライフの参考になれば幸いです。





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