モバイルバッテリーを選ぶとき、あなたが一番気にしていることは何でしょうか。容量?価格?それとも——安全性?近年、リチウムイオンバッテリーの発火事故が報じられるたびに、「もっと安全なバッテリーはないのか」という不安の声が広がっています。その答えのひとつが「準固体電池」です。結論から言えば、2026年8月現在、準固体電池を搭載したモバイルバッテリーは少なくとも4製品が市場に出ており、従来品と比較して発火リスクが大幅に低減されていることがメーカーの公表データから確認できます。特に山善(2026年6月発表)やオズマ(2026年8月発表)といった新製品は、電解液含有率を1%以下に抑え、釘刺し試験でも発火しなかったという安全性データを公開しています。この記事では、単なる「安全です」という抽象的な説明ではなく、実際の試験項目やサイクル寿命の数値、ユーザーのリアルな口コミ傾向まで踏み込んで、どの製品が本当におすすめなのかを徹底比較していきます。
準固体電池とは?従来のリチウムイオン電池と何が違うのか
まずは技術の基本をおさらいしておきましょう。準固体電池(セミソリッドステートバッテリー)は、その名前の通り「固体」と「液体」の中間的な性質を持つ電池です。従来のリチウムイオン電池は液体の電解質を使っていましたが、これが高温や衝撃で漏れたり、発火の原因になったりすることがありました。一方、完全な固体電池(全固体電池)はまだ量産化に課題が多く、実用的なモバイルバッテリーとしてはほとんど出回っていません。
そこで登場したのが準固体電池です。電解質をゲル状やスラリー状にすることで、液体のように動きすぎず、固体のように硬すぎない状態を実現。この中間的な構造によって、電解液の漏れにくさとイオンの移動効率の両立を狙っています。特にモバイルバッテリーのような日常的に持ち運ぶデバイスでは、この「漏れにくさ」が大きな安心材料になるわけです。
ただし注意したいのは、「準固体」と「全固体」は別物だということ。一部のメディアでは混同して紹介されることもありますが、全固体電池はまだ研究開発段階の要素が強く、現時点で一般消費者が手にできる製品はほぼ準固体電池です。この点を理解しておかないと、過剰な期待をしてしまうかもしれません。
2026年6月〜8月の最新動向:新製品ラッシュが続く準固体電池市場
この分野で最も注目すべきは、2026年夏に相次いだ新製品の発表です。まず2026年6月16日、山善が「準固体モバイルバッテリー」を発表しました(共同通信PRワイヤー)。10,000mAh(PD35W)と20,000mAh(PD35W)の2モデルで、特筆すべきは液体電解質の含有量を1%以下に抑えている点です。同社の発表資料によれば、釘刺し試験や切断試験でも発火しなかったとのこと。この「1%以下」という数値は、従来のリチウムイオン電池と比較して圧倒的に低く、安全性の定量的な根拠として非常に価値があります。
続いて2026年8月12日には、オズマ株式会社が新型の準固体電池モバイルバッテリーをMakuakeで先行販売開始しました(チバテレ+プラス)。この製品はPD45Wに対応し、約190gという軽量設計が特徴です。急速充電性能と軽さを両立したいユーザーにとっては魅力的な選択肢になるでしょう。
さらに、これらに先駆けて市場に登場していたのが、コハクジャパンの「EB-102PS」(2025年秋ごろ発売)と、cheeroの「Solido」シリーズです。コハクジャパンは針刺し試験や火炎試験をクリアしたと公表しており、サイクル寿命は約2,000回(メーカー公称値)と非常に長寿命を謳っています。
つまり2026年8月時点で、消費者が選択できる準固体電池搭載モバイルバッテリーは少なくとも4製品にまで増えているのです。これは半年前の状況と比べて大きな変化であり、この最新情報を反映した比較記事はまだ多くありません。
既存の解説記事ではわからない「安全性の数字」と「寿命の実態」
ここで、多くの上位記事が避けて通っているポイントを整理しておきましょう。それは「どのくらい安全なのか」を数字で示していないことです。「発火リスクが低い」「従来比で安全」といった抽象的な表現に終始しており、具体的な試験データや電解液含有率にまで踏み込んだ記事はほとんど見当たりません。
また、サイクル寿命についても同様です。各メーカーが公表する数値は、山善が約1,000回、コハクジャパンが約2,000回と開きがありますが、この差が何に起因するのかを解説した記事はありません。計測条件の違いなのか、それとも材料そのものの特性なのか——このギャップを埋めることが、読者の製品選びに直結するはずです。
さらに、SNSやQ&Aサイトを調べてみると、ユーザーからは「冬のアウトドアで使えるのか」「長期間放置したときの劣化はどうなのか」といった、より実用的な疑問が寄せられていることがわかりました(X・Yahoo!知恵袋、2026年8月15日確認)。これらの論点は、上位記事ではまったく扱われていません。
各製品の安全性・寿命・価格を徹底比較
それでは、実際に市場に出ている準固体電池搭載モバイルバッテリーを比較してみましょう。ここでは「電解液含有率」「安全試験の内容」「サイクル寿命(公称値)」という、他ではあまり比較されていない軸を中心に評価します。
| 製品名 | 容量 | 急速充電出力 | 重量 | サイクル寿命(公称) | 電解液含有率 / 安全試験 | 参考価格 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 山善 YMB-A100(10,000mAh) | 10,000mAh | 35W | 非公表 | 約1,000回 | 液体含有率1%以下 / 釘刺し・切断試験クリア | 非公表 |
| コハクジャパン EB-102PS | 10,000mAh | 20W | 229g | 約2,000回 | 漏れ・膨張リスク低減 / 針刺し・火炎試験クリア | 6,899円前後 |
| cheero Solido 10000 | 10,000mAh | 22.5W | 非公表 | 非公表(従来比劣化少ない) | 発熱・膨張抑制(詳細数値非公表) | 非公表 |
| オズマ(Makuake先行販売) | 10,000mAh | 45W | 約190g | 非公表 | 準固体電池採用(詳細非公表) | 先行特価 |
この表からわかるのは、安全性の「見える化」の度合いがメーカーによって大きく異なるということです。山善は電解液含有率という定量的な指標を明確に示しており、コハクジャパンも複数の試験をクリアしたことを公表しています。一方で、cheeroやオズマは現時点で詳細な数値が公開されておらず、この点は今後の情報公開に期待したいところです。
また、サイクル寿命については、コハクジャパンの2,000回という数値が抜群に長いように見えますが、これが実際の使用環境でどこまで再現されるかは別の話です。メーカー公称値はあくまで理想的な条件下でのデータであり、日常使いでは多少劣化が早まる可能性もあることを頭に入れておきましょう。
ユーザーのリアルな声:価格と安心感のトレードオフ
SNSやレビューサイトから収集したユーザーの声(2026年8月15日時点)を見ると、おおまかに次のような傾向がありました。ポジティブな意見としては、「発火への不安が減った」「バッグに入れて持ち歩く安心感が違う」という声が多く、特に航空機内への持ち込みを気にするユーザーから好意的な反応が寄せられています。
一方で、ネガティブな意見として目立ったのは価格の高さです。従来のリチウムイオンモバイルバッテリーと比較すると、準固体電池搭載製品はどうしても割高になります。また、「準固体という言葉の意味がよくわからない」「効果を実感しにくい」という声も複数見られました。このあたりは、メーカー側のわかりやすい説明や、実際の使用感を伝えるレビューの充実が今後の課題と言えるでしょう。
さらに、アウトドア愛好家からは「冬場のキャンプで使うけど、低気温でも大丈夫なのか」という質問が挙がっていました。準固体電池は一般的に耐熱性・耐寒性に優れると言われていますが、各製品の動作温度範囲が公式に明示されているわけではないので、この点は今後の製品情報に期待です。
準固体電池モバイルバッテリー、どれを選べばいい?
ここまで比較してきたように、各製品には一長一短があります。では、あなたの用途に合わせてどのように選べばよいのでしょうか。
安全性の「証拠」を最も重視するなら、山善のYMB-A100が有力な候補です。電解液含有率1%以下という明確な数値と、釘刺し・切断試験のクリアという実証データは、他の製品と差別化できる大きなポイントです。まだ価格は非公表ですが、発売直後の実勢価格をチェックしてみる価値はあるでしょう。
一方、長期間使い続けることを前提にするなら、コハクジャパンのEB-102PSは注目です。公称2,000回のサイクル寿命は、毎日充電しても5年以上持つ計算になります(実際の劣化は環境に依存しますが)。6,899円という価格帯も、長寿命を考慮すればコストパフォーマンスは悪くないと言えます。
軽量・高出力を求めるなら、オズマのMakuake製品が魅力的です。約190gでPD45W対応というスペックは、持ち運び頻度の高いビジネスユーザーや出張が多い方にフィットします。ただし、現時点では詳細な安全試験データが公開されていないので、その点は自己責任での判断が必要です。
cheero Solidoは、ブランドの信頼性とデザイン性を重視する方に向いています。詳細数値は非公表ながら、従来のcheero製品と同様に丁寧な作り込みが期待できるでしょう。
まとめ:準固体電池は「安全」という新しい価値基準を創りつつある
2026年8月現在、準固体電池搭載のモバイルバッテリーは確実に選択肢を増やしています。山善やオズマの新製品発表によって、この分野は「未来の技術」から「今買える選択肢」へと変わりつつあるのです。従来のリチウムイオンバッテリーと比較して、発火リスクの低減と長寿命化という明確なメリットがあり、特に「安全第一」でバッテリーを選びたいユーザーにとっては、非常に有力なカテゴリーと言えるでしょう。
ただし、価格がまだ高いことや、メーカーごとに公開している情報の粒度が異なることなど、課題も残されています。今後、さらに多くのメーカーが参入し、情報の透明性が高まれば、もっと選びやすくなるはずです。
まずは自分の使い方と予算を照らし合わせて、今回紹介した4製品の中から候補を絞ってみてください。どの製品にも一長一短がありますが、共通しているのは「従来品よりはるかに安全な設計」という大前提です。その上で、あなたが重視するポイント——それは数値で見える安全性なのか、長寿命なのか、それとも軽量・高出力なのか——に最も合致する製品を選ぶのが、後悔しない買い方と言えるでしょう。
コハクジャパン 準固体電池 モバイルバッテリー 10000mAh EB-102PS





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