モバイルバッテリー、もし発火したら怖いですよね。安全なメーカーはどこなのか、どう対策すればいいのか――この記事では、2026年に入ってから相次いだリコールや新技術の登場、さらに総務省消防庁が公開した新しいポータルサイトなど、最新情報をふまえて「発火しにくいモバイルバッテリーの選び方」を具体的にまとめました。
まず結論から言うと、「PSEマークが付いていれば絶対安全」というわけではありません。2024年12月に新しい技術基準へ完全移行したこと、そして2026年に入ってからも複数メーカーでリコールが発表されていることがその証拠です。重要なのは、①2024年12月以降の新基準に対応した製品かどうか、②各メーカーが採用する安全技術の内容、③購入前にリコール情報を確認する――この3点を押さえることです。
この記事では、最新の事故・規制・技術動向をベースに、メーカーごとの安全への取り組みを比較し、今すぐ使える実践的な発火予防・発火時の対策まで解説します。
2026年、モバイルバッテリーをめぐる最新動向まとめ
ここ1〜2カ月の間に、モバイルバッテリーの安全性に関わる重要な発表が相次いでいます。まずはこの「2026年最新情報」を押さえておきましょう。この情報が、安全な製品選びの前提になります。
6月:姫路市で車載中のモバイルバッテリーが発火、車両全焼
2026年6月19日、兵庫県姫路市で駐車中の軽自動車が全焼する事故が発生しました。原因は車内に置かれていたモバイルバッテリーの発火と見られています(総務省消防庁の統計にもとづく報道より、2026年6月)。猛暑の季節を迎えるにあたり、車内のような高温環境での使用・保管には特に注意が必要です。
6月:総務省消防庁が「リチウムイオン電池総合対策ポータルサイト」を公開
同じく2026年6月18日、総務省消防庁はリチウムイオン電池に関する総合的な情報を集約したポータルサイトを公開しました。リチウムイオン電池火災の発生件数は、2022年の601件から2025年には1297件へと急増しています(総務省消防庁統計)。このポータルサイトでは、事故を防ぐための基本的な注意点から、廃棄方法までがまとめられており、公式の信頼できる情報源として活用できます。
5月:アンカー・ジャパンが新電池セル「Neo Lithium-ion Battery」を発表
2026年5月27日、モバイルバッテリー市場の大手であるアンカー・ジャパンが、安全性を高めた新バッテリーセル「Neo Lithium-ion Battery」を発表しました(日経クロステック、2026年6月2日)。これは従来のリチウムイオン電池をベースに、より発火しにくい構造を追求したものだと言えます。
注目すべきは、アンカーが2025年から2026年にかけて大規模なリコールを経験した直後の発表だという点です。この新技術が今後の製品にどのように搭載されていくのか、動向を追う価値があります。
5月:複数メーカーでリコール・回収情報が更新
2026年5月16日時点で、アンカー、Xiaomi、unybex、エレコムなど、少なくとも4社以上を含む22件以上のリコール・自主回収情報が確認されています(ケータイWatch、2026年5月16日)。「有名メーカーなら大丈夫」という思い込みは危険です。購入前、あるいは現在使っている製品がリコール対象でないか、必ず確認する習慣をつけましょう。
4月:飛行機内への持ち込みが2個までに制限、機内充電も禁止に
2026年4月24日、国土交通省は航空機内へのモバイルバッテリー持ち込みルールを強化しました。預け入れは引き続き禁止で、機内持ち込みは2個までに制限され、さらに機内での充電も全面禁止となりました(日経クロステック、2026年6月2日)。旅行前に最新ルールを確認しておかないと、空港で没収される可能性もあるので注意してください。
2024年12月:PSEの技術基準が新基準へ完全移行(これが超重要!)
そして、これが最も見過ごされがちなポイントです。電気用品安全法(PSE)の技術基準が2024年12月に新基準へ完全移行しました(エレコム、2025年12月11日公開、2026年3月11日更新)。つまり、2025年以降に製造された新しい製品は、原則としてこの新基準に対応しているはずです。
しかし、古い在庫がそのまま販売されているケースも考えられます。PSEマークが付いていても、旧基準の製品は安全性能が劣る可能性があります。「PSEマーク=安心」ではなく、「新基準対応」かどうかまでチェックすることが、2026年現在の安全基準を満たすための必須条件になりました。
「発火しにくいモバイルバッテリー」のメーカー別比較
では、具体的にどのメーカーの製品を選べばいいのでしょうか。ここでは、主要メーカーが採用する「安全技術の方向性」を比較してみました。PSEマークの有無や容量の大きさではなく、各社が発火リスクにどう向き合っているかという視点で見てみましょう。
主要メーカーの安全技術比較表(2026年7月時点)
| メーカー/ブランド | 採用技術・特徴 | 安全性へのアプローチ | 備考(出典) |
|---|---|---|---|
| アンカー (Anker) | Neo Lithium-ion Battery(2026年5月発表) | 従来の三元系リチウムイオン電池の安全性を高めることで、発火リスクを低減。新素材ではなく既存技術の改良アプローチ。 | 2025〜2026年に大規模リコールを経験。新技術で信頼回復を図る(日経クロステック、2026年6月)。 |
| エレコム (ELECOM) | Thermal Protection機能 / 5つの保護回路 | 過充電・過放電・過電流・短絡・温度検知に加え、24時間温度監視機能を搭載したモデルも。異常を事前に検知して遮断する。 | 日本国内シェアが高く、安全機能を積極的にアピール。リコール情報も公開済み(ケータイWatch、2026年5月)。 |
| オウルテック (OWLTECH) | USB PD-PPS対応による電力制御 | 電圧・電流を細かく最適化し、変換効率を高めることで発熱そのものを抑制。結果としてバッテリーへの負荷を軽減。 | ノートPC充電に対応した高出力モデルが多く、発熱対策を重視しているのが特徴。 |
| 新型電池採用メーカー (各社) | 準固体電池 / ナトリウムイオン電池 | リチウムイオン電池の可燃性電解液をゲル状や固体に置き換えたり、異素材を用いることで発火リスクを根本から低減する新しいアプローチ。 | 完全にリスクをゼロにするわけではないが、次世代の選択肢として注目されている。 |
この表からわかるのは、安全へのアプローチはメーカーによってまったく異なるということです。単に「有名メーカーだから」ではなく、各社がどのような技術で安全性を高めようとしているのかを理解した上で選ぶことが重要です。
モバイルバッテリーを選ぶ前に:今すぐチェックすべき3つのこと
「どのメーカーがいいのか」を考える前に、まずは現時点で自分が持っている製品や、これから買う製品について、以下の3つを必ず確認してください。
1. リコール対象製品ではないか確認する
先述の通り、2026年5月時点で複数メーカーの製品がリコール対象になっています(ケータイWatch、2026年5月16日)。消費者庁のサイトで「リチウム電池内蔵充電器」と検索すると、リコール情報を一括で確認できます。現在使っている製品の型番を必ず照会してください。対象だった場合は、メーカーの指示に従って回収・交換手続きを進めましょう。
2. PSEマークの「種類」と「新旧」を確認する
モバイルバッテリーには、PSEマークが菱形と丸形の2種類あります。菱形は特定電気用品、丸形はそれ以外の電気用品に該当します(エレコム)。そして何より、2024年12月以降の新基準に対応した製品かどうかをメーカーの公式サイトで確認してください。製品パッケージや説明書に「新技術基準適合」などの表記があれば、それが目安になります。
3. 製品の「発熱」や「膨張」に異常がないか定期的にチェックする
これは口コミサイトやSNSでも多くのユーザーが指摘しているポイントです(X、Yahoo!知恵袋、2026年7月時点)。「高価な製品でも、使っているうちに膨らんできた」「充電中に異常に熱くなる」という報告は少なくありません。少しでも異常を感じたら、すぐに使用を中止し、メーカーに問い合わせてください。発火は突然起こるものではなく、必ず前兆があります。
万が一、発火したら?NITEが教える正しい対処法
ここで、多くの記事が誤って伝えているポイントをひとつ解決しておきます。
「リチウムイオン電池に水をかけてはいけない」という情報を目にしたことはありませんか?
これは誤りです。NITE(製品評価技術基盤機構)の公式資料によれば、小型のリチウムイオン電池製品については、「火花が収まったら、大量の水を掛けることで消火することができます」 と明記されています(NITE、2024年6月)。水をかけることで外部から冷却し、延焼を防ぐ効果が期待できるからです。
ただし、これはあくまでNITEの公式ガイドラインに基づく対処法であり、まずは身の安全を最優先することが大前提です。煙が発生していたり、火が大きくなっている場合は、迷わず避難して消防に通報してください。素人の消火活動にリスクが伴うことを理解した上で、あくまで初期段階の対応として覚えておきましょう。
ちなみに、NITEのポスターには「発火したら水の入ったバケツや洗面器に入れる」という具体策も紹介されています。消火器も有効ですが、一般家庭に常備されているとは限りません。「水で冷やす」という選択肢を知っておくだけでも、被害を最小限に抑えられる可能性があります。
安全なモバイルバッテリーの選び方・おすすめ製品
ここまでの情報をふまえて、実際に「どの製品を買えばいいか」を考えてみましょう。以下のポイントをすべてクリアした製品が、現時点での「安全な選択肢」だと言えます。
- 2024年12月以降のPSE新基準に対応していること
- リコール対象外であることを確認できること
- メーカーが安全技術について明確な説明をしていること
- 異常時の保護回路(過充電・過電流・温度検知など)を搭載していること
これらの条件を満たす製品として、以下のものが候補に挙がります。
エレコム DE-C72L-20000BK
エレコム DE-C72L-20000BK:Thermal Protection機能を搭載し、24時間温度監視が可能。国内シェアが高く、サポート体制も充実しています。PSE新基準対応が明記された製品を選びましょう。
Owltech OWL-LPB20015-RBK
オウルテック OWL-LPB20015-RBK:USB PD-PPS対応で電力制御に優れ、発熱を抑える設計。高出力ながら安全面への配慮が行き届いたモデルです。
Anker PowerCore 10000
アンカー PowerCore 10000:大規模リコールを経て、新たな安全技術「Neo Lithium-ion Battery」を発表したアンカーの製品群。今後の新製品にはこの技術が搭載される見込みで、今後の動向に注目です。
CIO SMARTCOBY Ex01 SLIM Qi2 & CABLE
CIO SMARTCOBY Ex01 SLIM Qi2 & CABLE:コンパクトながら安全性に配慮した設計で、複数の保護回路を内蔵。特に旅行時などの持ち運びに適したモデルです。
※購入前に必ず、各メーカーの公式サイトで最新のリコール情報や新基準対応状況を確認するようにしてください。
モバイルバッテリー発火を防ぐために、今すぐできる3つの対策
最後に、記事全体のまとめとして、今すぐ実践できる対策を3つに絞ってお伝えします。
- 現在使っている製品の型番を確認し、消費者庁のサイトでリコール対象か調べる(これが最優先です)
- 新しい製品を買うときは「PSEマーク」だけでなく「2024年12月以降の新基準対応」を確認する
- 使用中は異常な発熱や膨張がないか定期的にチェックし、少しでも異変があればすぐに使用を中止する
モバイルバッテリーは私たちの生活に欠かせない便利なアイテムですが、同時に「発火リスク」と隣り合わせの製品でもあります。しかし、正しい知識とちょっとした習慣で、そのリスクは大幅に減らせます。
「どのメーカーか」よりも「その製品が今、安全かどうか」を判断する目を養うこと。これが、あなたとあなたの大切な人を守るための最善の対策です。
今回お伝えした最新情報(2026年のリコール動向・PSE新基準・航空機ルール・NITEの正しい消火法)を、ぜひ日々の製品選びや点検にお役立てください。安全なモバイルバッテリーライフを送りましょう。





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