モバイルバッテリーを選ぶとき、多くの人が「PSEマークが付いているから大丈夫」と思っていませんか?実はそれ、もう古い考え方かもしれません。2024年12月の法改正でリチウムイオン電池の安全基準が大きく変わり、今は「セルごとの電圧監視機能」が義務化されています。この記事では、PSEマークの本当の意味や新基準の内容、さらに上位記事ではあまり触れられていない保護回路の有無や半固体電池の採用など、本当に安心できるモバイルバッテリーの見極め方を、消費者庁や経済産業省のデータをもとに徹底解説します。
モバイルバッテリーの「安心」を左右するPSEマークの正体
モバイルバッテリーを購入するとき、真っ先にチェックすべきなのがPSEマークです。でも、このPSEマークについて「国が安全性を認証した証拠」だと思っている方は少なくありません。実はそれ、誤解です。
PSEマークは「電気用品安全法」に基づく表示で、事業者が自ら技術基準に適合していることを確認した証なんです。経済産業省の制度を解説する資料にもある通り、国が一台ずつ検査して認証しているわけではなく、事業者の自己適合宣言が基本なんですね(経済産業省トピックス、2024年12月)。もちろん届出や検査のルートはあるんですが、あくまで「自主的に適合確認を行いました」という意思表示の意味合いが強いんです。
だからといってPSEマークが無意味かというと、そんなことはありません。PSEマークのない製品は日本国内で販売してはいけないことになっていますし、最低限の安全性は確保されていると考えていいでしょう。ただ、「PSEマークさえあれば絶対に安全」というわけではないことだけは、頭に入れておいてほしいんです。
2024年12月の法改正で何が変わった?
ここからが本題です。2024年12月28日、リチウムイオン電池に関する技術基準が改正されました。この改正で何が変わったかというと、セルごとに電圧を監視する保護回路の搭載が義務化されたんです(経済産業省トピックス、2024年12月)。
これまでの基準でも保護回路自体は求められていましたが、セル単位での監視までは義務ではなかったんです。電池パック全体でしか電圧を見ていなかった製品もあったわけですね。でも今回の改正で、個々のセルの電圧をきちんと監視することが必須になりました。これによって、特定のセルだけが過充電や過放電になるリスクが大幅に減ると期待されています。
そしてもう一つ重要なのが、この新基準に対応していない旧基準の製品は、2024年12月28日以降に製造・輸入されたものは販売禁止になったということ。エレコムの公式サイト(2026年3月更新)でもこの点は明確に説明されています。
つまり、今(2026年8月時点)新しく店頭に並んでいるモバイルバッテリーは基本的にこの新基準をクリアしているはずなんですが、ネット通販などでは在庫処分で旧基準の製品がまだ流通している可能性もあります。購入するときは、2024年以降に製造された製品かどうかを確認するのが一つの目安になりますよ。
消費者庁のデータが示すリチウムイオン電池の事故実態
なぜここまで安全基準が厳しくなったのか。それはやっぱり、リチウムイオン電池の発火事故が後を絶たないからです。
消費者庁が発表しているデータ(2024年度公表)を見てみると、2020年度から2024年度までの5年間に、ワイヤレスイヤホン、スマートウォッチ、携帯用扇風機だけで162件の事故情報が登録されています。そしてそのうち136件(なんと84.0%)がリチウムイオン電池が原因と推定されるんです。内訳はワイヤレスイヤホンが64件、スマートウォッチが46件、携帯用扇風機が26件となっています。
モバイルバッテリーももちろん、これらの製品と同じリチウムイオン電池を使っています。「モバイルバッテリーが突然膨らんだ」「充電中に異様に熱くなる」といった報告も、ネット上のレビューやQ&Aサイトでは散見されました。特に、Amazonなどの通販で購入した安価な製品に関する不満やトラブルの声が目立ちましたね(X・価格.com・Yahoo!知恵袋等、2026年8月確認)。
本当に安心できるモバイルバッテリーの見極め方(4つのチェックポイント)
ここまでの話を踏まえると、「安心できるモバイルバッテリー」を選ぶには、単にPSEマークがあるかどうかだけじゃ足りないことがわかります。具体的に何をチェックすればいいのか、4つのポイントにまとめました。
①PSEマークと届出事業者名の表記を確認する
まず基本ですが、PSEマークは必須です。ただ、ロゴマークだけでなく、「届出事業者名」が本体に併記されているかもチェックしてください。PSEマークだけがぽつんと書いてある製品よりも、事業者名まで明記されている製品のほうが、責任の所在がはっきりしています。
②2024年法改正に対応した新基準品かを確認する
先ほど説明した通り、2024年12月の法改正でセル電圧監視機能が義務化されました。製品ページやパッケージに「PSEマーク(2024年基準対応)」といった記載があるか、あるいは製造年が2024年以降かどうかを確認しましょう。特に安価な製品の中には、旧基準のまま販売されているケースもあるようです。
③保護回路の搭載状況を調べる
これはメーカーの公式サイトで確認するのが確実です。エレコムの公式サイト(2026年3月更新)では、安全なモバイルバッテリーに求められる保護回路として、過充電・過放電・過電流・短絡・温度検知の5機能を挙げています。これらの機能がすべて搭載されているか、製品スペックで確認してみてください。多くの上位機種ではこれらの機能が備わっていますが、格安製品では情報が非公開だったり、搭載されていなかったりすることもあります。
④セルの種類にも注目する(半固体電池)
最近注目されているのが半固体電池の採用です。従来のリチウムイオン電池は液体の電解質を使っていましたが、半固体電池は電解液の量を大幅に減らすことで、万一の際の発火リスクを低減できると言われています。マクセルやCIO、エレコムの一部上位モデルではすでに採用が進んでいます。まだまだ普及途上の技術ではありますが、より高い安全性を求めるならチェックしておいて損はないでしょう。
安全設計で選ぶ!おすすめモバイルバッテリー
ここまでのチェックポイントを踏まえた上で、安全面に配慮した設計がなされている製品をいくつか紹介します。いずれも2024年基準に対応し、保護回路の情報も公開している信頼できるメーカーの製品です。
Anker PowerCore 10000mAh モバイルバッテリー
Ankerは世界的にシェアが高く、保護回路の搭載も明確に公表しています。価格と性能のバランスが良く、初心者にもおすすめしやすい一本です。
CIOのSMARTCOBYシリーズは、半固体電池を採用しており、液体電解質タイプと比べて発火リスクが低減されている点が大きな特徴です。新技術に敏感な方に特におすすめです。
エレコム モバイルバッテリー 2024年基準対応 保護回路搭載
エレコムは公式サイトで保護回路の5機能を明示しており、情報開示の姿勢が信頼できます。日本メーカーならではの丁寧な製品設計が魅力です。
UGREENもPSEマークの仕組みを自社ブログで詳しく解説するなど、情報開示に積極的です。コストパフォーマンスに優れつつ、必要な安全基準はしっかりクリアしています。
モバイルバッテリーの安心を決めるのは「総合判断」
ここまで読んでいただいて、おわかりいただけたと思いますが、モバイルバッテリーの「安心」は一つの指標だけで決まるものではありません。
PSEマークはもちろん大切です。でもそれだけに頼らず、2024年法改正への対応状況、保護回路の有無と種類、セルの種類(半固体電池かどうか)、そしてメーカーの情報開示の姿勢——これらを総合的に見て判断することが、本当に安心できる製品を選ぶコツなんです。
冒頭でも触れた通り、消費者庁のデータが示すようにリチウムイオン電池の事故は決して珍しいものではありません。でもそれは、正しい知識を持って製品を選び、そして適切に使えば、十分に回避できるリスクでもあります。PSEマークの限界を知り、新基準や保護回路といったより深い安全指標をチェックする習慣をつけてください。その一歩が、あなたの大切なスマホや財布、そして何より身の安全を守ることにつながります。





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