モバイルバッテリーを手に取ったとき、本体にPSEマークがなくて「これって使っても大丈夫?」と不安になったことはありませんか?
結論から言います。PSEマークのないモバイルバッテリーは、法律違反の製品である可能性が極めて高いです。そして、最も重要なのは、そのまま使い続けるのは非常に危険だということ。すぐに使用を中止し、安全な方法で処分することを強くおすすめします。
でも、ちょっと待ってください。「じゃあどうすればいいの?」「PSEマークがあれば絶対安全なの?」「そもそもポータブル電源にはマークがないけど?」――そういった疑問が次々と浮かんでくると思います。
この記事では、2026年8月時点の最新の法規制や事故データをもとに、PSEマークがないモバイルバッテリーに関する正しい知識と、今すぐ実践できる具体的な対策をわかりやすく解説していきます。
モバイルバッテリーにPSEマークがないと何が起きる?法的な位置づけと実態
まず、PSEマークとは何かをざっくりおさらいしておきましょう。PSEとは「Product Safety Electrical Appliance & Materials」の略で、電気用品安全法という法律に基づいて、安全基準を満たした電気製品に貼られるマークです。
モバイルバッテリーは、リチウムイオン蓄電池を内蔵し、エネルギー密度が400Wh/L以上の単電池を使用する製品が対象となります。2019年2月以降、こうしたモバイルバッテリーにはPSEマークの表示が義務化されました。つまり、PSEマークがないモバイルバッテリーは、基本的に違法な状態で販売・輸入されたものだと判断できます。
ただし、ここで一つ大きな誤解を解いておく必要があります。それはポータブル電源とモバイルバッテリーの違いです。
AC100Vを出力できるポータブル電源は、電気用品安全法上の「蓄電池」の定義(直流出力)に該当しないため、PSEマークの表示義務がありません(経済産業省「モバイルバッテリーに関するFAQ」より)。なので、「ポータブル電源にPSEマークがない!」と慌てる必要はないんですね。あくまで今回のテーマは、スマートフォンなどを充電する一般的なモバイルバッテリーに話を絞ります。
2026年最新動向:事故件数が過去最多に。政府が規制を抜本強化
ここで、ぜひ知っておいてほしいのが最新の状況です。
2026年8月現在、リチウムイオン電池を搭載したモバイルバッテリーの事故件数が急増しています。 独立行政法人である製品評価技術基盤機構(NITE)のデータによると、モバイルバッテリーに関連する事故の報告件数は、2021年には51件だったのが、2025年には実に192件にまで増加。たった4年で約4倍に跳ね上がっているんです(日刊ゲンダイ2026年8月報道)。
この事態を受けて、政府はモバイルバッテリーの安全規制を抜本的に強化する方針を固めました。具体的には、これまでの事業者による自主検査から、第三者機関による検査を義務化する方向で動いています。2026年8月時点でこの方針が発表されており、今年度中の制度化を目指しているところです(同報道)。
この動きが意味するのは、「PSEマークがあれば安心」という時代が終わりつつあるということ。もちろんPSEマークは重要な安全の目安ですが、それだけでは不十分だという認識が広がり始めているんですね。
PSEマークがないモバイルバッテリーのリスクとは?具体的な危険性
では、PSEマークがない製品には、具体的にどんなリスクがあるのでしょうか。
一番怖いのは発火・破裂の危険性です。PSEマークがない製品の多くは、保護回路が省略されていたり、低品質なバッテリーセルが使われていたりします。その結果、過充電や過放電、衝撃による内部ショートなどが起きたときに、正常にシャットダウンできず、発火や破裂に至るケースが多いんです。
NITEのデータが示す通り、事故件数が年々増加しているのは、そうした粗悪品の流通量が増えていることと無関係ではありません。特に、異常な低価格で販売されている中国製の無名ブランド品などは、リスクが非常に高いと言わざるを得ません。
また、PSEマークがない製品は、メーカーによるアフターサポートや補償が一切期待できないというデメリットもあります。万が一、製品が原因で火災や財産被害が発生しても、事業者の特定が難しく、損害賠償を請求することはほぼ不可能でしょう。
すでに持っている場合の対処法:使うべき?捨てるべき?
ここが一番の悩みどころですよね。「買ってしまったけど、まだ使えるし…」という気持ちはよくわかります。でも、ここは使わないという選択をしてください。
先ほども触れたように、PSEマークのないモバイルバッテリーは、保護回路が正しく動作しないリスクを常に抱えています。少しでも発熱が気になる、膨らんできた、異臭がするといった兆候があれば、それはもう危険信号です。
では、どうやって処分すればいいのか。
モバイルバッテリーは一般のごみとして出すことができません。リチウムイオン電池を内蔵しているため、自治体のごみ収集で回収されないケースがほとんどです。もし誤って燃えるごみなどに混ぜてしまうと、収集車や処理施設での火災事故の原因になります。
正しい処分方法としては、以下のような選択肢があります。
- お住まいの自治体のルールを確認する:自治体によっては、リサイクルステーションや特定の回収日を設けている場合があります。
- 家電量販店のリサイクルボックスを利用する:多くの家電量販店では、使用済みのモバイルバッテリーを回収するボックスを設置しています。
- 一般社団法人JBRC(電池リサイクル協会)の回収ボックスを利用する:全国の協力店舗に設置されているボックスに投入できます。
- 危険物回収専門の業者に依頼する:どうしても処分に困った場合は、専門業者に引き取ってもらう方法もあります。
大事なのは、絶対に放置しないこと。使わずに家の中に置きっぱなしにするのも危険です。少し手間でも、必ず適切な方法で処分しましょう。
PSEマークがあれば安全?その「PSEマーク」、本物ですか?
ここで、もう一つ落とし穴があります。
PSEマークの表示自体は、事業者の「自主検査」に基づいています。つまり、法的にはすべての事業者が正しく検査を実施しているという前提で成り立っている制度です。しかし、残念ながら現実には、PSEマークを偽装したり、適正な検査を行わずにマークだけ貼ったりする悪質な事業者が存在するのも事実です。
では、どうやって本物のPSEマークかどうかを見極めればいいのでしょうか。
ポイントは、マークだけで判断しないことです。PSEマークが本体に表示されている場合、通常は一緒に「届出事業者名」や「定格(電圧・容量など)」も記載されています。これらの情報が正しく表示されているかをチェックしましょう。
また、販売サイトで購入する場合は、「PSEマークあり」という表記だけを信じるのではなく、販売元の情報や製品のレビューもよく確認することが大切です。信頼できる国内メーカー(例えばエレコムやAnkerなど)の製品であれば、そうしたリスクは格段に低くなります。
PSEマークがないモバイルバッテリーに関するよくある質問
ここで、読者の皆さんから寄せられることの多い疑問をいくつか解消しておきましょう。
Q:ノベルティでもらったモバイルバッテリーにPSEマークがありません。無料でもらったものなら大丈夫ですか?
A:いいえ、無償配布のものであっても、安全リスクに変わりはありません。経済産業省の見解(2025年7月16日改訂のFAQ)でも、ノベルティとして配布される場合でも、製造・輸入事業者には技術基準への適合確認義務が課せられています。マークがないということは、その義務が果たされていない可能性が高いです。
Q:PSEマークがないけど、今まで使っていて問題なかったです。このまま使い続けても大丈夫ですか?
A:今まで問題なかったからといって、これからも安全とは限りません。バッテリーは使えば使うほど劣化し、内部でガスが発生して膨張したり、絶縁が劣化してショートしやすくなったりします。事故は「ある日突然」起きるものだと認識してください。
Q:海外で購入したモバイルバッテリーにはPSEマークがありませんが、日本で使ってもいいのでしょうか?
A:海外製品を個人で輸入・使用する分には、法律違反にはなりません。しかし、安全面では同じリスクが存在します。日本の電圧や使用環境に合わせた設計がされていない場合もあり、やはり使用は避けるべきです。
PSEマークがないモバイルバッテリーの正しい選び方と買い替えおすすめ
最後に、もし新しいモバイルバッテリーを購入しようと考えているなら、以下のポイントを押さえて選んでください。
- PSEマークの有無はもちろん必須:ただし、それだけでは不十分。
- 2024年12月以降の新技術基準に適合した製品か:この基準はモバイルバッテリーの安全性をより高める内容に改定されています。
- メーカーの信頼性:知名度のある国内メーカーや、世界的にシェアのあるブランドを選びましょう。
- 複数の保護機能(過充電保護、過放電保護、短絡保護など)が明記されているか。
ここで、信頼性の高い製品をいくつか紹介します。いずれもPSEマークを取得しており、販売も合法です。
Anker Power Bank (20000mAh, 45W)
Ankerは世界的に評価の高いブランドで、安全性に定評があります。高出力ながら複数の保護機能を搭載しており、スマートフォンやタブレットの急速充電にも対応しています。
エレコム モバイルバッテリー 10000mAh 高出力タイプ
国内メーカーならではの安心感があります。2024年12月の新技術基準にも対応しており、PSEマークはもちろん、過電流保護や温度検知機能なども充実しています。
小型軽量ながら、独自の安全制御技術を採用しているのが特徴です。バッテリー残量や充電状態を細かくモニタリングする機能があり、安心して使えます。
これらの製品を選べば、PSEマークの有無で不安になることはありません。
モバイルバッテリーのPSEマークは「安全の最低条件」。最新情報を味方にしよう
今回は、モバイルバッテリーのPSEマークがない場合のリスクと、具体的な対策についてお話ししました。
PSEマークがないモバイルバッテリーは、使わずに適切に処分する。これが安全の第一歩です。同時に、PSEマークが付いていても、製品の品質やメーカーの信頼性までチェックする習慣を持つことが、これからの時代には欠かせません。
2026年8月現在、第三者機関による検査義務化という大きな規制の流れが動き出しています。この変化は、消費者である私たちにとっては「より安全な製品を選べる環境」が整いつつあるという意味でもあります。
不安を感じたら、すぐにバッテリーの状態を確認してみてください。「PSEマークがない」「膨張している」「発熱が気になる」――そう感じたときは、迷わず使用をやめて、この記事で紹介した方法で処分を進めてみてください。あなたの安全を守るための、小さくても確かな一歩です。





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