タイプライター風キーボードが欲しい。そう思って検索しているあなたは、きっとただの文房具じゃ物足りない人だろう。デスクに置いた時の高揚感、キーを叩くたびに響く音、そして指先に伝わる確かな手応え。そういう“書く歓び”を大事にしたい人のはずだ。
この記事では、タイプライター風メカニカルキーボードのなかでもひときわ異彩を放つ「Rymek(ライメク)」を実際の使用感も交えながら深掘りしていく。メリットだけじゃない。購入前に知っておくべき注意点も正直に書いた。読み終わる頃には、「これを自分のデスクに置くべきかどうか」がはっきりしていると思う。
Rymekとは?タイプライター風キーボードのなかでも異色の存在
Rymekは、クラウドファンディングで目標額の1500%を達成したレトロ系メカニカルキーボードだ。開発したのは中国のスタートアップ。昔ながらのタイプライターのデザインを忠実に再現しつつ、中身は最新のワイヤレス技術で固めている。
見た目だけのキーボードじゃない。ここがポイントだ。
主なスペック
- 接続方式:Bluetooth 3.0(最大3台マルチペアリング)/ USB有線
- キースイッチ:Gateron Blue Switch(青軸)またはCherry MX Switch
- キー配列:US配列(Mac用キートップ標準)
- バッテリー:2,000mAh内蔵、最大50時間駆動
- バックライト:7種類のLEDモード搭載
- 重量:約1,300g
スペックだけ見ると普通のメカニカルキーボードだ。でも実物はまるで違う。左側面に飛び出した銀色のレバー、右上の音量調整ダイヤル、そしてタイプライターそのもののサドル型キーキャップ。机の上に置いた瞬間、そこが執筆机に変わる。
Rymekの魅力。タイピングが「作業」から「体験」に変わる
打鍵感は中毒性あり。Gateron青軸が生み出す小気味よさ
Rymekに採用されているGateron製の青軸スイッチは、クリック感がとにかく明確だ。「カチッ」というフィードバックが指先に心地よく、打鍵音は「カチャカチャ」というより「カチカチ」という軽快な音に近い。
実際に長文を打ってみるとわかる。キーを押すたびに小さな達成感がある。だからどんどん書きたくなる。執筆がはかどるキーボードとはこういうものか、と素直に感心した。
サドル型のキーキャップも秀逸だ。指先に吸い付くような凹みが、タイプミスを減らしてくれる。見た目だけでなく、ちゃんと機能している。
所有欲を満たす質感とデザイン
金属フレームの重厚感、レバー操作の手応え、ダイヤルを回す感触。どれも安っぽくない。タイプライター風キーボードは数あれど、ここまで質感にこだわった製品は珍しい。
バックライトを点灯させると、レトロな雰囲気がさらに引き立つ。夜、照明を落とした部屋でRymekに向かう時間は、ちょっとした贅沢だ。
スマホスタンドとマルチデバイスの使い勝手
キーボード上部には溝が切ってあり、スマートフォンやタブレットを立てかけられる。iPadを置いて文章を書く、Kindleを立てて読書しながらメモを取る、そんな使い方が自然にできる。
Bluetooth接続は最大3台までマルチペアリング可能。左側面のレバーで有線と無線を物理的に切り替える方式だから、操作に迷わない。直感的なUIは、アナログ感とデジタルのちょうどいい融合だ。
Rymekを買う前に知っておきたい注意点
ここからは正直に書く。Rymekには明確なデメリットもある。勢いで買うと後悔するかもしれないポイントを整理した。
打鍵音はかなり大きい。静かな環境では騒音になる
Gateron青軸のクリック音は、動画で聴くよりも実物のほうがずっと存在感がある。深夜のリビング、オフィスの静かなフロア、子供が寝たあとの寝室。そういう場所では間違いなく「うるさい」と言われる。開発元も「夜静かな時はうるさいかも」と注意喚起しているくらいだ。
一人暮らしか、周囲に音を許容してもらえる環境か。この条件を満たせないなら、別のスイッチを選ぶか、そもそも別のキーボードを検討したほうがいい。
US配列の壁と初期設定のわかりにくさ
RymekはUS配列だ。日本語JIS配列に慣れた人には、記号の位置や「かな/英数」の切り替えが最初はストレスになる。慣れるまで数日はかかると考えておいてほしい。
また、Bluetoothの初回ペアリングがスムーズにいかないケースが一部で報告されている。説明書は英語表記で、初心者にはやや不親切だ。ガジェットの設定に抵抗がある人は、最初だけ誰かに手伝ってもらうのが無難かもしれない。
約1.3kgの重さと3万円台の価格
重量1,300gは、キーボードとしてはかなり重い。持ち運びは現実的じゃない。完全に「据え置き」用だ。
価格も3万円前後と、一般的なメカニカルキーボードと比べると高価格帯に入る。1万円台のタイプライター風キーボードも市場には多数ある。それらと比較すると、Rymekは「デザインと打鍵体験にここまで投資できるか」が購入の分かれ目になる。
競合のタイプライター風キーボードと何が違うのか
タイプライター風キーボード市場には、HKWやFSCHKWといった1万円台の製品がひしめいている。それらはJIS配列対応だったり、価格の手頃さが魅力だったりする。
ではRymekは何が違うのか。
最大の差は「本物感」だ。物理レバーによる接続切替、金属製の音量ダイヤル、サドル型キーキャップの造形美。どれもコストをかけて再現度を高めている。競合製品の多くは「レトロ風」だが、Rymekは「タイプライターそのもの」に限りなく近づけようとしている。
だからターゲットも違う。とにかく安くレトロ感を楽しみたい人ではなく、「書く道具にこだわりたい人」「デスク環境をとことん突き詰めたい人」に響く製品だ。
Rymekはこんな人におすすめ。逆に向かない人も正直に言う
買うべき人
- タイピングの打鍵感やクリック音を心から楽しめる人
- デスク周りのインテリアに強いこだわりがある人
- 小説やブログなど、長文を書くことが日常的な人
- アナログとデジタルが融合したガジェットにワクワクできる人
買うのを迷ったほうがいい人
- オフィスや家族と同じ空間で静かに作業しなければならない人
- JIS配列から絶対に離れたくない人
- キーボードに3万円以上出すのはどうしても抵抗がある人
- 軽くて持ち運べるキーボードを探している人
Rymekのある暮らし。毎日のタイピングがちょっと特別になる
タイプライター風キーボードRymekをレビューしてきて、結局これに尽きると思う。
書くことは本来、楽しい行為だ。でも効率やスピードばかり追いかけていると、いつしか「打つ」だけの作業になっていく。Rymekはそんな日常にちょっとした儀式を持ち込んでくれる。キーを叩くたびに鳴る音、指に返ってくる手応え、レバーをカチリと倒して執筆モードに入る瞬間。そういう積み重ねが、毎日のタイピングをほんの少し特別に変えてくれる。
3万円が高いか安いかは人それぞれだ。でも、「書く時間をもっと好きになりたい」と願うなら、Rymekはきっと応えてくれるキーボードだと思う。

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