レトロゲーム機のパッドを手掛けてきた8BitDoが、その世界観そのままにメカニカルキーボードを出してきた。
「見た目だけのネタ商品でしょ?」と思う人もいるかもしれない。でも実機を触ってみると、これがちゃんと打てる。むしろ、打鍵感にこだわった本格派だ。
ここ数年でラインナップも一気に増えた。NES風、ファミコン風、C64風。スイッチもクリッキーから静音リニアまで選べるようになっている。
この記事では、そんな8BitDoメカニカルキーボードの中から、目的別におすすめモデルを紹介していく。選び方のコツや、実際に使って感じた注意点にも触れるので、自分に合う一台を探す参考にしてほしい。
そもそも8BitDoってどんなブランド?
8BitDoは、2013年に設立された中国発のゲーミング周辺機器メーカーだ。初代ファミコンやスーパーファミコンをモチーフにしたワイヤレスコントローラーが大ヒットして、レトロゲームファンの間で一気に知名度を上げた。
その8BitDoが2024年に満を持して投入したのが、レトロメカニカルキーボードシリーズだ。第一弾はファミコン風デザインの「Retro Mechanical Keyboard」で、発表と同時に大きな話題になった。
現在ではテンキーレスモデルに加えて、65%サイズの高級アルミモデル「AP50」も登場。価格帯も1万円台から5万円超まで幅広く、コレクターズアイテムとしても実用品としても人気を集めている。
8BitDoメカニカルキーボードの共通ポイント
モデル紹介の前に、シリーズ全体に共通する特徴をざっと押さえておきたい。
接続方式は3モード対応
Bluetooth、2.4GHzワイヤレス、有線USB-Cの3パターンで接続できる。PCはもちろん、MacやAndroid、iOSにも対応しているので、デスク環境を選ばない。有線接続時は遅延がほぼゼロになり、ゲーム用途でもストレスを感じにくい。
Kailh(カイル)社の本格メカニカルスイッチ搭載
キーの心臓部には、中国の老舗スイッチメーカーKailhのボックス型スイッチを採用している。ボックス型は軸がしっかり固定されていて、グラつきが少ない。安定した打鍵感が長く続くのも強みだ。
ホットスワップ対応でスイッチ交換ができる
ほとんどのモデルがホットスワップに対応していて、ハンダ付けなしでスイッチを引き抜いて交換できる。初期搭載のスイッチが合わなければ、市販の好きなスイッチに付け替えられるわけだ。この自由度の高さは、カスタムキーボード好きにはたまらない。
スーパーボタンが付属
シリーズの大きな特徴が、キーボード本体に有線接続して使う巨大な2つのプログラマブルボタン「スーパーボタン」だ。コピー&ペーストやアプリ起動などを割り当てられる。正直、毎日使うかと言われると人によるが、デスクに置いてあるだけでテンションが上がる。所有欲を満たすアイテムとしては満点だ。
おすすめモデル5選
ここからは、実際に評価の高いモデルを5つに絞って紹介していく。それぞれスイッチの種類やデザインテーマが違うので、自分に合うものを見つけてほしい。
レトロメカニカルキーボード N Edition(NES風・クリッキー)
8BitDoのキーボードと言えば、まずはこれ。初代ファミコンの海外版、NESをモチーフにしたデザインで、グレーとブラックに赤いアクセントが効いている。
8Bitdo Retro Mechanical Keyboard N Edition
搭載スイッチはKailh Box White V2。カチカチと小気味よいクリック音が鳴るクリッキータイプで、タイピングのリズムが掴みやすい。打っていて楽しいのはこのモデルだ。
ただし、音はかなり大きい。オープンなオフィスや家族がいるリビングで使うと、間違いなくうるさがられるレベル。周囲に気を遣う環境なら、次に紹介する静音モデルを選ぶか、ホットスワップでスイッチ交換する前提で考えたほうがいい。
キーキャップは昇華印刷のPBT製で、文字が消えにくく耐久性が高い。長時間使ってもテカリにくいのが嬉しい。
レトロメカニカルキーボード Fami Edition(ファミコン風・クリッキー)
NESモデルと中身はほぼ同じだが、こちらは日本のファミコンカラーを再現したモデル。えんじ色と白の配色が、昭和生まれのゲーマーにはたまらない。
8Bitdo Retro Mechanical Keyboard Fami Edition
スイッチや機能はN Editionと共通で、Kailh Box White V2搭載。打鍵感で選ぶなら、完全に好みのデザインで決めてしまっていい。
一点、日本市場ではこのファミコンカラーのほうが品薄になりがち。見つけたら即決したほうがいいかもしれない。
Retro 87 Mecha Break Edition(ロボットアニメ風・リニア)
2025年に登場した比較的新しいモデルで、SFロボットアニメを思わせる配色が特徴。落ち着いたグレーとオレンジの差し色が、レトロというよりスタイリッシュな方向に振り切れている。
8Bitdo Retro 87 Mecha Break Edition
最大の違いはスイッチだ。Kailh Glaze Jellyfish Proというリニアタイプが搭載されていて、クリッキーとは打鍵感がまったく違う。カチカチ音はなく、スッと底まで沈むスムーズな感触。打鍵音もかなり静かで、同じシリーズとは思えないほど上品にまとまっている。
RGBバックライトも搭載していて、暗い部屋でのゲーミングにも向いている。クリッキーの騒音が気になる人は、このモデルを最初から選んだほうが満足度が高いだろう。キーキャップは光を透過するABS製なので、ライティングを楽しみたい人にもおすすめだ。
Retro 87 C64 Edition(コモドール64風・クリッキー)
1980年代に大ヒットしたパソコン、Commodore 64をモチーフにしたモデル。ブラウンとベージュの配色が渋くて、歳を重ねたレトロPCファンに刺さりまくるデザインだ。
スイッチはKailh Box White V2で、先のモデルと同じクリッキー。キーキャップはABS製で、レトロな色合いを出すためにあえて艶のある質感に仕上げられている。
注意点として、UK ISOレイアウト版も存在するので購入時には配列をよく確認してほしい。日本語キーボードに慣れている人はUS ANSIレイアウトのほうが違和感なく使えるはずだ。
AP50(Apple II風・アルミ筐体・静音リニア)
8BitDoが満を持して投入したハイエンドモデル。Apple IIをモチーフにしたアイボリーとブラウンの配色で、ここまで紹介してきたモデルとは別次元の質感だ。
筐体はフルCNC加工のアルミニウム合金。キーキャップまでアルミ削り出しで、重量はなんと2.2kgある。ずっしりとデスクに鎮座する姿は、もはやインテリアだ。
内部構造はガスケットマウント方式で、タイピング時の衝撃をガスケットが吸収する。底打ちが柔らかく、打鍵音も「コトコト」という心地よいサウンドに仕上がっている。スイッチはKailh Box Ice Cream Pro Maxで、静かでクリーミーな打鍵感だ。
65%サイズなので省スペースだし、価格は約5万円と本格カスタムキーボード並み。レトロデザインのキーボードが欲しいけど質感には絶対に妥協したくない、という人のための一台と言える。
実際に使って感じる注意点
良いことばかり書いてきたが、正直なところ気になる点もある。購入前の参考にするために、実際のユーザーから出ている声も紹介しておく。
クリッキースイッチの騒音問題
N EditionやFami Edition、C64 Editionに搭載されているKailh Box White V2は、とにかく音が大きい。集合住宅の深夜、赤ちゃんのいる家庭、オフィス勤務。このあたりに引っかかる人は、リニアモデル一択で考えたほうが無難だ。
筐体はプラスチック製
ほとんどのモデルは筐体がプラスチック製で、重量も1kg前後と軽め。高級アルミキーボードのようなズッシリ感や剛性感はない。価格相応の作りと言えるが、写真で高級感を想像していると実物を手に取ったときに「あれ、思ったより軽い」と感じるかもしれない。
US ANSIレイアウトが基本
8BitDoのキーボードはUS配列が基本だ。日本語キーボードのJIS配列に慣れていると、エンターキーの形や記号の位置に戸惑う。慣れれば問題ないが、仕事で毎日使う人は試し打ちできる場所で確認しておいたほうがいい。
スーパーボタンは使い道を考えておく
巨大なプログラマブルボタンは楽しいが、最初だけ使って引き出しにしまったという声も多い。とはいえ、動画編集ソフトのショートカットやDiscordのミュートボタンに設定すると意外と便利。使い道をイメージしてから購入すると無駄にならない。
自分に合う8BitDoメカニカルキーボードの選び方
最後に、どんな人にどのモデルが合うのかをざっくり整理しておく。
完全にデザイン重視なら
→ N EditionかFami Edition。見た目で心が決まっているなら、それでいい。
静かさが最優先なら
→ Retro 87 Mecha Break Editionのリニアスイッチモデル。静音性は段違いだ。
質感や打鍵感を極限まで求めるなら
→ AP50一択。5万円の価値があるかどうかは、アルミ削り出しのキーキャップに触れた瞬間にわかる。
あとからカスタムする前提なら
→ どのモデルでもホットスワップ対応なので、好きなスイッチに交換すればいい。ただ、最初から静音タイプを買ったほうが手間もコストもかからない。
8BitDoメカニカルキーボードは、レトロデザインと本格的な打鍵感を見事に両立させた唯一無二のシリーズだ。どんなに優れたキーボードでも、デスクに置いたときの気分が上がらなければ意味がない。見た瞬間にニヤリとできる相棒を探しているなら、この中の一台がきっと応えてくれる。

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