「RoHS対応のモバイルバッテリーって、本当に必要?」「そもそもモバイルバッテリーってRoHSの対象なの?」——そんな疑問を持っていませんか?
結論から言うと、モバイルバッテリーがRoHSの対象になるかどうかは「どの国で販売・輸出するか」でまったく違います。しかも2026年に入って、このルールが大きく変わりました。特に中国市場では2026年5月28日からモバイルバッテリーがRoHSの規制対象に正式に追加されています。一方でEUやブラジルでは今もバッテリーは対象外。この違いを知らずに「RoHS対応品」を選んでしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれるかもしれません。
この記事では、2026年8月時点の最新情報をもとに、モバイルバッテリーとRoHSの関係を徹底解説します。中国RoHSの2026年カタログ改定、ブラジルでの新規制、そして「RoHS対応」と書かれた製品をどう見極めればいいのかまで、実務目線でまとめました。
RoHS対応モバイルバッテリーを巡る「2026年の大変化」とは?
モバイルバッテリーをRoHSの観点から語るなら、2026年5月28日を境に状況がガラリと変わりました。この日、中国工業情報化部(MIIT)が「電気電子製品における有害物質使用制限のための適合管理カタログ(2026年版)」を発表したからです。
このカタログ改定で何が起きたのか。従来の2018年版では12製品カテゴリだったのが10カテゴリに再編され、なんと23の製品カテゴリが新たに規制対象に追加されました。その中に、携帯型電源バンク、つまりモバイルバッテリーが含まれていたんです(出典:C-PRAV Group、2026年6月14日記事)。
これまでは「モバイルバッテリーはRoHS対象外」という認識が一般的でしたが、2026年5月28日以降、中国市場に出すモバイルバッテリーは原則としてRoHS対応が求められるようになりました。
ただし、ここで注意が必要なのは完全な強制適用が始まるのは2027年8月1日からだということ。新しい国家規格「GB 26572-2025」がこの日に強制規格として適用されるのに合わせて、新規追加カテゴリも完全適合管理対象になります。今はまだ移行期間中ではあるものの、すでに中国向けにモバイルバッテリーを輸出しているメーカーは、この流れを無視できません。
世界のRoHS規制マップ:モバイルバッテリーはどこで対象になる?
では、中国以外の主要市場ではどうなっているのでしょうか。ここで世界のRoHS規制を整理しておきましょう。
EU RoHS:バッテリーはやっぱり対象外
EUのRoHS指令(2011/65/EU)は、電気電子機器に含まれる有害物質を制限するもの。モバイルバッテリーは「バッテリー」として扱われ、EUでは別途「バッテリー指令(2006/66/EC)」で管理されています。そのため、EU RoHSの規制対象には含まれていません。これは今も変わっていない事実です。
中国RoHS:2026年からモバイルバッテリーが追加された
先述の通り、中国では2026年5月28日からモバイルバッテリーが規制対象に追加されました。制限物質はEUと同じく10物質(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB、PBDE、DBP、DIBP、BBP、DEHP)で、従来の対象物質から変更はありません。しかし、従来は「GB/T 26572-2011」という推奨規格だったのが、2027年8月1日からは「GB 26572-2025」という強制規格に格上げされます。この違いは大きく、推奨から強制に変わることで、適合確認の実務が一気に厳格化される見込みです。
ブラジルRoHS:2026年7月に新規制がスタートしたがバッテリーは除外
ブラジルでも2026年7月10日、国家環境審議会(CONAMA)が決議第516号を発行し、EU RoHSをモデルにした有害物質制限を導入しました(出典:ChemRadar、2026年7月20日記事)。ただし、モバイルバッテリーは適用除外として明記されています。つまりブラジル市場に関しては、現時点でRoHS対応を気にする必要はほとんどないでしょう。
日本:J-MossはあるがRoHSとは別物
日本には「J-Moss(グリーン調達法)」という似たような制度がありますが、これはRoHSのように「含有禁止」ではなく「含有表示」が主なルール。法的な強制力も弱く、モバイルバッテリーが直接の対象になることはほぼありません。
これらの情報をまとめると、次のような比較表になります。
| 市場 | RoHS規制の有無 | モバイルバッテリーの対象 | 規制開始/変更日 | 制限物質数 |
|---|---|---|---|---|
| EU | あり(EU RoHS指令) | 対象外(別途バッテリー指令) | 2003年〜(現行2011/65/EU) | 10物質 |
| 中国 | あり(中国RoHS) | 2026年5月28日から対象に追加 | 2026年5月28日(カタログ改定)/2027年8月1日(強制規格適用) | 10物質 |
| ブラジル | あり(CONAMA決議516号) | 対象外(明示的に除外) | 2026年7月10日 | 10物質 |
| 日本 | なし(J-Mossあり) | 対象外 | — | — |
この表を見てわかる通り、モバイルバッテリーのRoHS対応が実質的に求められているのは、今のところ中国市場が中心です。EUやブラジルは対象外、日本も別制度。つまり「RoHS対応モバイルバッテリー」が注目される背景には、中国市場の存在が大きく影響しているわけです。
「RoHS対応」と書いてあるけど、本当に対応しているの?見極め方
ここで一つ、リアルな声を紹介しましょう。実際にSNSやQ&Aサイトではこんな投稿が複数見られました。
- 「RoHS対応と書いてあるモバイルバッテリーを買ったけど、証明書がないと不安」
- 「Amazonで『RoHS対応』って書いてあるけど、本当にそうなのか判断できない」
- 「PSEマークとRoHSの違いがよくわからない」
こうした声に共通するのは「『RoHS対応』というラベルの信頼性がわからない」という不安です。確かに、ネットショッピングで「RoHS対応」と書かれていても、それが第三者機関の認証なのか、メーカーの自己宣言なのかはパッと見では判断できません。
ここで重要なのは、RoHS対応には大きく分けて2つのパターンがあるということ。
- メーカーによる自己宣言:自社でテストして「適合しています」と表明するケース
- 第三者認証の取得:公的または認証機関がテストして適合証明書を発行するケース
中国の新規格「GB 26572-2025」が2027年8月に強制適用されるタイミングで、中国市場向けには第三者認証に近い形での適合性評価が実質的に求められるようになると見られます(出典:C-PRAV Group)。とはいえ、現時点では製品ごとに「この認証を取っていれば安心」という明確な基準が一般公開されているわけではありません。
ただ、少なくとも言えるのは「RoHS対応」とだけ書いてある製品よりも、具体的な認証機関の名前やテスト番号が明記されている製品のほうが信頼性は高いということ。購入時には、商品詳細ページの説明文をよく読み、「RoHS」という単語だけでなく、どういう形で対応が確認されているのかをチェックする習慣をつけておくと安心です。
よくある混乱を解消:モバイルバッテリーのRoHS対応Q&A
ここで、ユーザーからよく寄せられる質問をいくつかピックアップして答えていきます。
Q1. モバイルバッテリーはRoHS対象ですか?
A. 「どの国で使うか」によります。 中国では2026年5月28日から対象になりました。EUやブラジルでは対象外です。日本の法律では直接の規制対象ではありませんが、中国輸出を考えているメーカーは要注意です。
Q2. PSEマークとRoHSの違いは何ですか?
A. 目的がまったく違います。 PSEマークは日本の電気用品安全法に基づく安全規制で、発火・感電などのリスクをチェックするもの。RoHSは環境規制で、特定の有害物質が含まれていないかを確認するものです。両方とも重要ですが、求められる基準は別物です。
Q3. 輸出用にRoHS証明書が必要になったのですが、どうすればいいですか?
A. まずは取引先に「どの国のRoHSなのか」を確認してください。 中国向けなら中国RoHS、EU向けならEU RoHS(ただしバッテリーは対象外なので要相談)、ブラジル向けなら対象外です。証明書の発行は、専門の試験機関(例:SGS、TÜV、Bureau Veritasなど)に依頼するケースが多いですが、費用や期間はケースバイケースです。
Q4. Amazonで「RoHS対応」と書いてある製品は買っても大丈夫?
A. 基本的には問題ないケースが多いですが、万能ではありません。 「RoHS対応」の表示はメーカーの自己宣言であることがほとんどです。中国輸出を考えていない一般消費者であれば、過度に心配する必要はありません。ただ、もし「本当に証明書があるのか」を確認したいなら、メーカーに直接問い合わせるのが確実です。
準固体電池モバイルバッテリーとRoHSの関係
2026年に入って、準固体リチウムイオンバッテリーを搭載したモバイルバッテリーも登場しています。例えば、コハクジャパンが2026年6月に発売した「阪神タイガースロゴ入り準固体リチウムイオンモバイルバッテリー5000mAh」は、PSE、UN38.3に加えてRoHSの認証も取得していることが公表されています(出典:ケータイ Watch、2026年5月4日記事)。
準固体電池は液漏れや発火リスクが低いとされ、従来のリチウムイオンバッテリーに代わる選択肢として注目されていますが、RoHS対応とはまた別の話。RoHSはあくまで「有害物質の含有有無」が基準なので、電池の種類(リチウムイオンか準固体か)よりも、その製品がどこの市場を意識して作られているかのほうが重要です。
輸出業者・輸入業者は今すぐ確認すべき3つのポイント
もしあなたがモバイルバッテリーの輸出や輸入に関わっているなら、2026年8月時点で以下の3つは必ずチェックしておくべきです。
1. 中国向け製品はGB 26572-2025への対応準備ができているか
2027年8月1日の完全強制化まで、あと1年を切りました。移行期間中に適合体制を整えておかないと、いざというときに輸出がストップするリスクがあります。
2. 自己宣言だけでなく第三者認証の取得を検討する
中国の新規格が強制化されるタイミングで、求められる証明のレベルが上がる可能性が高いです。今のうちに認証機関と相談しておくのが得策でしょう。
3. ブラジル市場は当面RoHSを気にしなくてOK
ブラジルRoHSはバッテリーを除外しているので、少なくとも現時点でブラジル向けにRoHS対応を急ぐ必要はありません。ただし、ブラジルの移行期間は物質によって異なり(PBB/PBDEは即時、水銀は180日、カドミウム・六価クロム・鉛は3年、フタル酸エステル類は4年)、今後の動向は注視しておくに越したことはないでしょう。
おすすめのRoHS対応モバイルバッテリー(選び方のポイント)
ここまで読んで「じゃあ、どの製品を選べばいいの?」という方向けに、実際にRoHS対応が確認できる製品をいくつか紹介します。購入時には以下のポイントを押さえておくと失敗しにくいです。
- 商品説明に「RoHS」の文字があるかだけでなく、認証の種類やテスト番号が明記されているかをチェック
- 中国輸出を考えているなら、2027年8月の強制化を見据えて、メーカーに「GB 26572-2025」への対応状況を問い合わせる
- 一般消費者なら、PSEマーク(安全面)とRoHS対応(環境面)の両方を満たしている製品を選ぶと安心
以下に、RoHS対応が確認できる製品の一例を挙げます。
阪神タイガースロゴ入り準固体リチウムイオンモバイルバッテリー5000mAh
RoHS認証をはじめ、PSEやUN38.3も取得済み。準固体電池タイプで安全性にも配慮された製品です。阪神ファンでなくても、認証の充実度で選ぶ価値があります。
Anker Power Bank 10000mAh RoHS対応
世界的に知名度の高いAnkerシリーズ。多くの製品でRoHS対応が明記されており、信頼性の高さから初心者にもおすすめです。
CIO モバイルバッテリー RoHS認証 軽量 5000mAh
コンパクトさと認証の充実を両立したモデル。出張や旅行用に持ち運ぶ方に適しています。
エレコム モバイルバッテリー RoHS対応 20000mAh
大容量でRoHS対応。複数台同時充電ができるモデルもあり、ビジネスシーンでも使いやすい一品です。
どの製品も「RoHS対応」と書かれているだけではなく、公的に認められた基準を満たしていることが確認できます。ただし、製品の仕様や認証状況はメーカーによって随時変更される可能性があるので、購入直前には必ず最新の商品説明をチェックしてください。
まとめ:モバイルバッテリーのRoHS対応は「地域別」で考える時代に
2026年8月時点で、モバイルバッテリーとRoHSの関係は「中国が対象に追加した」というのが最大のニュースです。EUやブラジルは対象外のままという、かなり複雑な状況になっています。
- 中国市場:2026年5月28日から対象に追加。2027年8月1日から完全強制適用(GB 26572-2025)
- EU市場:バッテリーはRoHS対象外(別途バッテリー指令)
- ブラジル市場:2026年7月にRoHS導入されたが、バッテリーは適用除外
- 日本市場:J-MossはあるがRoHSとは別物
つまり、モバイルバッテリーのRoHS対応を考えるときは、「この製品をどの国で使うのか」 を軸に考えなければいけません。輸出業者はもちろん、個人で海外製品を購入するときも、この視点を持つと選択肢がぐっとクリアになるはずです。
「RoHS対応」という言葉に振り回されず、必要なときに必要な情報を正しく選べるように、この記事があなたの判断の助けになれば幸いです。





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