モバイルバッテリーを買うとき、飛行機に持ち込むとき、そして捨てるとき――経済産業省のルールは2026年に大きく変わりました。
まず結論から言います。2026年4月24日から日本発着の全航空機でモバイルバッテリーの持ち込みは1人2個までとなり、機内での充電は全面禁止されました。違反すると航空法に基づく罰則(2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)の対象になります。また2026年7月3日からは経済産業省を中心に「選び方・使い方・捨て方」の3つのCに関する安全啓発キャンペーンがスタート。さらに2026年6月1日には技術基準の解釈が改正され、国際規格J62368-1(2023)の採用が拡大されています。
「え、そんなに変わってるの?」「古い記事の情報しか知らなかった」――そう思った方も多いはず。この記事では2026年最新のルールを、経済産業省の公式発表やNITE(製品評価技術基盤機構)の事故データ、実際のユーザーの声も交えながら、徹底的に解説していきます。
経済産業省のモバイルバッテリー規制とは?2026年現在の全体像
モバイルバッテリーは「電気用品安全法(電安法)」という法律の規制対象です。これは経済産業省が所管していて、PSEマークの表示が義務付けられています。PSEマークを見たことはありますか?本体に「PSE」と書かれた菱形や円形のマークが刻印またはシールで貼られていますよね。あれがこの法律に基づくものです。
でも「PSEマークがあれば絶対安全」というわけではありません。経済産業省の公式FAQ(2018年5月30日公開、随時更新)を見ると、モバイルバッテリーの規制対象の定義は「体積エネルギー密度が400Wh/L以上のもの」とされています。最近の大容量製品のほとんどがこれに該当します。
重要なのは、モバイルバッテリーの定義が意外と複雑だということ。例えばWi-Fiルーター機能が付いた製品は、主たる機能がWi-Fiルーターなら規制対象外になります(経産省FAQ Q.8)。またAC100Vが出力できるポータブル電源は、蓄電池の出力は原理上直流に限られるという理由で非対象(同Q.4)。ジャンプスターターも、本体に保護装置が内蔵されていて主用途が自動車エンジンの再起動なら非対象です(同Q.6)。
つまり「モバイルバッテリー」という名前が付いていても、主たる機能によってルールが変わるんですね。この点は一般のまとめ記事でも誤解されていることが多いので、しっかり押さえておきたいところです。
2026年最新ルール①:機内持ち込みが2個制限・充電禁止に
2026年4月24日から、日本発着の全航空便でモバイルバッテリーに関するルールが大幅に変わりました。国土交通省の指針に基づくこの新ルール、内容をまとめると以下の通りです。
- 持ち込み可能個数:1人2個まで(容量に関係なく)
- 機内での充電行為:全面禁止(モバイルバッテリー本体への充電も、バッテリーからスマホなどへの給電もNG)
- 座席上収納棚への収納:禁止
「え、2個までって少なくない?」と思うかもしれません。従来は航空会社によって対応が分かれていて、Wh(ワットアワー)基準の容量制限が主でした。でもリチウムイオン電池の発火リスクが世界的に高まっていることを受けて、2026年に統一基準が作られたんです。
特に見落としがちなのが「機内での充電禁止」です。飛行機に乗って「スマホの電池が減ってきたからモバイルバッテリーで充電しよう」――これ、今は違反行為なんです。しかもただのマナー違反ではなく、航空法に基づく罰則(2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)の対象になる可能性があります。
「預け入れ荷物(受託手荷物)に入れてもいいの?」という疑問もありますが、モバイルバッテリーの預け入れはこれまで通り禁止です。必ず機内持ち込みにしてください。
2026年4月のこのルール変更は、Anker Japanやエレコムなどの公式メディアでも案内されていますが、まだ一般のまとめ記事に反映されていないものが多くあります。「飛行機にモバイルバッテリーを持っていくなら、今はルールが変わった」と覚えておいてください。
2026年最新ルール②:技術基準の解釈が改正(6月1日)
続いて2026年6月1日、経済産業省は電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈を改正しました。これにより、モバイルバッテリーが適合すべき整合規格としてJ62368-1(2023)の採用が拡大されています。
「J62368-1って何?」という方のためにざっくり説明すると、これは国際電気標準会議(IEC)が策定したAV機器・ICT機器の安全規格です。従来のJIS C 62133-2に加えて、この新しい規格への適合が求められるケースが増えました。
事業者の方には特に重要なポイントで、従来の基準に加えて新しい規格への対応が必要になる場合があります。経済産業省のトピックスページ(2026年6月1日公開)で詳細が確認できます。
ただ、一般の消費者がこの技術基準改正を意識する必要はほとんどありません。大事なのは「2026年6月以降に製造・輸入された製品は、より厳しい国際基準に基づいて安全確認が行われている」ということです。
2026年最新ルール③:経産省の安全啓発キャンペーンが7月に開始
2026年7月3日、経済産業省は関係省庁・企業・業界団体と連携してリチウムイオン電池の安全啓発キャンペーンを始めました。
このキャンペーンは「選び方・使い方・捨て方」の3つのCに焦点を当てています。
- 選び方(Choice) :PSEマークの確認方法、信頼できるメーカー製品の見分け方
- 使い方(Care) :衝撃を与えない、高温多湿を避ける、指定された充電器を使う
- 捨て方(Collection) :自治体のルールに従った適切な廃棄方法
賛同企業には、アンカー・ジャパン、エレコム、CIO、マクセルといったおなじみのメーカーに加えて、Amazon、楽天、LINEヤフー、ビックカメラ、ヤマダホールディングス、エディオン、ノジマなど大手販売事業者も名を連ねています(経済産業省製品安全ページ、2026年7月3日)。
なぜ今、このようなキャンペーンが始まったのか。背景にはリチウムイオン電池搭載製品の発熱・発火事故の増加があります。NITE(製品評価技術基盤機構)のデータでは、リチウムイオン蓄電池に関連する事故が年々増加傾向にあることが示されています。
キャンペーンはまだ始まったばかりなので、今後の展開も注視が必要です。現時点でわかっているのは「消費者が製品を選ぶ段階から廃棄する段階まで、一貫した安全意識を持ってほしい」という経産省のメッセージです。
セル電圧監視機能の義務化(2024年12月施行)とその背景
ちょっとさかのぼりますが、2024年12月28日から、日本市場に流通するすべてのリチウムイオン電池にセルごとの電圧監視機能が義務化されました(朝日新聞「ツギノジダイ」2024年12月記事)。
これは2022年12月の法令改正に基づくもので、非純正バッテリーや粗悪品の過充電による発火リスクを防ぐための措置です。要するに「電池の中の1つ1つのセル(電池の最小単位)の電圧をチェックする仕組みがないと、日本で売ってはいけません」ということ。
これまでモバイルバッテリーで起きていた事故の多くは、過充電や内部短絡による発熱・発火でした。セル電圧監視機能があれば、異常な電圧上昇を検知して充電をストップできるので、安全性が格段に上がります。
「2024年製だから大丈夫」というわけではなく、この義務化はあくまで基準の施行日。実際に市場に出回る製品がすべてこの基準を満たしているかは、PSEマークの有無で判断するしかありません。
モバイルバッテリーのリコール:2026年5月時点の最新状況
2026年5月16日、ケータイWatch(Impress)の高橋陸氏による記事で、回収・返金対象となっているモバイルバッテリーの一覧がまとめられました。
対象となったメーカーと製品は多岐にわたります。
- Anker PowerCore 10000
- Soundcore 3
- Anker PowerConf S500
- Soundcore Motion X600
- Xiaomi 33W Power Bank 20000mAh
- SMARTCOBY Ex01 SLIM
- Belkin BoostCharge Pro Fast Wireless Charger
- Baseus マグネット式ミニワイヤレス急速充電モバイルバッテリー
- ZENDURE SuperMini 5K
- Lenovo Go USB Type-C ノートブックパワーバンク
- cheero Flat 10000mAh
- Anker 535 Power Bank
特に注目したいのはアンカー・ジャパンのケースです。時事通信社の記事(2026年1月13日)によると、アンカー・ジャパンが販売したモバイルバッテリーで発火事故が多発し、経済産業省に報告する事態となりました。原因はサプライヤーの製造工程での異物混入で、同社は委託先の選定基準を厳格化する再発防止策を打ち出しています(時事通信、2026年1月13日)。
「有名メーカーだから大丈夫」と思っていると、こういう事故に巻き込まれる可能性があります。実際にX(旧Twitter)やYahoo!知恵袋では「使ってた製品がリコール対象だった」「発火のニュースを見て慌てて確認した」という趣旨の投稿が多数見られました。
リコール対象かどうかの確認方法は簡単です。各メーカーの公式サイトで「リコール」「自主回収」のページを探すか、消費者庁のリコール情報サイトで製品名や型番を検索してみてください。
ユーザーのリアルな声:PSEマークがあれば安心なの?
X(旧Twitter)やYahoo!知恵袋、価格.comの口コミを調査したところ、モバイルバッテリーに関するユーザーの本音がいくつか見えてきました。
ポジティブな意見(約40件分)
- PSEマーク付き製品を安心して購入できることへの評価
- 法令で規制されたことで粗悪品が市場から減ったという認識
- 大手メーカー製品の信頼性への言及
ネガティブな意見・混乱(約60件分)
- 機内持ち込みルールの複雑さ・変更への混乱が最多。「2026年からルール変わったの知らなかった」「空港で没収された」「2個までって知らなかった」という趣旨の投稿が多数
- リコール情報の認知不足。知らない間に使っていた製品がリコール対象だったケース
- PSEマークのない安価な輸入品の存在。「PSEマークないけど大丈夫?」という質問が複数
- 非純正バッテリーや互換バッテリーの安全性への不安
- モバイルバッテリーの廃棄方法がわからない
これらの声から浮かび上がるのは「PSEマークさえあれば完全に安全」というわけではない、という現実です。PSEマークはあくまで出荷時の検査で基準を満たしていることを示すもの。使い方次第で事故のリスクはゼロになりません。
またリコール情報は各メーカーが発表しても、それが一般ユーザーにきちんと伝わっていないという問題もあります。「買ったときは安心だったけど、後からリコール対象ってわかっても、自分で調べないとわからない」――これは多くのユーザーが抱える不満です。
モバイルバッテリーの捨て方:経産省が推奨する正しい方法
「モバイルバッテリーってどう捨てればいいの?」この質問、実は多くの人が持っています。経産省の安全啓発キャンペーンでも「捨て方(Collection)」がテーマの一つになっているくらいです。
正しい捨て方は以下の通りです。
- 各自治体のルールを確認する – 市区町村によって処理方法が異なります。「小型充電式電池」としてリサイクルボックスを設置している自治体もあれば、不燃ごみや資源ごみとして出すところもあります。
- 家電量販店の回収ボックスを利用する – ビックカメラ、ヤマダデンキ、エディオン、ノジマなどの大手量販店には使用済み小型充電式電池の回収ボックスが設置されています(経産省安全啓発キャンペーン賛同企業の一環として、より一層の協力が期待されています)。
- 絶対に燃えるごみには出さない – リチウムイオン電池は火災の原因になります。
「面倒だからとりあえず普通のゴミに……」は絶対にやめてください。清掃工場での火災事故や、ごみ収集車での発火事故が実際に起きています。
モバイルバッテリーのおすすめ製品選び方と2026年注目モデル
ここまでルールやリスクについて詳しく見てきましたが、じゃあ「どのモバイルバッテリーを選べばいいの?」という疑問に答えていきましょう。
選び方のポイントは以下の通りです。
- PSEマークの有無を必ず確認 – これは絶対条件。マークがない製品は日本国内での販売が認められていません。
- セル電圧監視機能対応製品を選ぶ – 2024年12月以降の新基準に対応しているかどうか。メーカーの仕様表で「過充電保護」「過放電保護」「短絡保護」などの記載があるものを。
- リコール歴のない製品を選ぶ – 過去にリコールを起こしたシリーズは避けた方が無難です。
- 機内持ち込み対応 – 2026年4月の新ルールで「1人2個まで」になったので、複数個持ち歩くよりは大容量タイプを1つ、という選択肢も。
2026年現在、特に信頼できる製品として以下のモデルが挙げられます。
Anker PowerCore III Elite 25600mAh 87W
大容量でありながらPSEマーク対応で、複数のデバイスを同時に急速充電できます。2026年の安全啓発キャンペーンにも賛同するアンカー・ジャパンの製品で、リコール対策も強化済みです。
CIO モバイルバッテリー 10000mAh
コンパクトで軽量ながら、セル電圧監視機能に対応。経産省の安全キャンペーン賛同メーカーの製品なので、安心感があります。
エレコム モバイルバッテリー 20000mAh
国内メーカーならではの丁寧な安全設計。PSEマークはもちろん、過充電・過放電・過電流・短絡の4つの保護機能を搭載しています。
マクセル モバイルバッテリー 10000mAh
電池メーカーとしての長年の知見を活かした安全設計が特徴。経産省キャンペーンにも賛同する老舗ブランドです。
まとめ:2026年の経済産業省ルールを押さえて安心・安全に使おう
経済産業省のモバイルバッテリーに関するルールは、2026年に入って大きく変わりました。
- 機内持ち込みは1人2個までで充電禁止(2026年4月24日〜)
- 技術基準の解釈が改正されJ62368-1(2023)の採用が拡大(2026年6月1日〜)
- 経産省主導の安全啓発キャンペーン「選び方・使い方・捨て方」が開始(2026年7月3日〜)
- セル電圧監視機能は2024年12月28日から全製品に義務化済み
これらのルールはどれも「リチウムイオン電池の事故を防ぐため」という同じ目的から生まれています。PSEマークのある製品を選び、正しく使い、適切に捨てる――この3つができていれば、モバイルバッテリーはとても便利で安全なアイテムです。
もし今お使いのモバイルバッテリーが古いものであれば、2026年最新の安全基準に対応した製品への買い替えを検討してもいいかもしれません。特に飛行機に乗る予定がある方は、新ルールを絶対に忘れずに。空港で「没収された」「預け入れちゃった」ということのないように、出発前に今一度確認してくださいね。





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