FiiO KB3完全解剖|オーディオブランドが本気で作ったDAC内蔵メカニカルキーボード

メカニカルキーボード
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こんにちは。今回はちょっと変わったキーボードの話をさせてほしい。

「FiiOがメカニカルキーボードを出したらしい」

その噂を聞いたとき、オーディオ好きなら誰でも二度見すると思う。僕もそうだった。据え置きDACやポータブルオーディオでおなじみのFiiOが、まさかキーボード市場に参入するなんて。しかもただのキーボードじゃない。DACとヘッドホンアンプを内蔵した、世にも奇妙で贅沢なガジェットとして登場したんだ。

今回はこのFiiO KB3を徹底的に掘り下げていく。打鍵感や音質はもちろん、「誰が買うべきか」「どんなデスク環境にハマるのか」まで、正直ベースで話していこうと思う。

FiiOが作ったメカニカルキーボードってそもそも何?

FiiO KB3は、中国のオーディオメーカーFiiOが2024年にリリースした有線メカニカルキーボードだ。最大の特徴は、筐体にDACチップとヘッドホンアンプ回路を組み込んでいること。キーボードとして使うのはもちろん、側面の3.5mmジャックや4.4mmバランス端子にイヤホンを挿せば、そのまま高音質で音楽を聴ける。

ざっくりスペックをおさらいするとこんな感じだ。

  • DACチップ:CS43131×2基
  • 対応サンプリングレート:PCM 384kHz / DSD256
  • 接続端子:USB-C(キーボード兼DAC接続)、3.5mmシングルエンド、4.4mmバランス
  • キースイッチ:Gateron G Pro 3.0(黄軸/赤軸)ホットスワップ対応
  • レイアウト:英語US配列、テンキーレス
  • 筐体素材:アルミ合金フレーム
  • 対応OS:Windows、macOS

つまり、デスクの上からDACアンプがひとつ消えるということ。ケーブルも電源もキーボードに集約されて、机の上が驚くほどすっきりするのがこの製品の真骨頂だ。

実際の打鍵感はどうなのか。メカニカルキーボードとしての実力

「オーディオ機能が付いてても、キーボードとしてダメなら意味がない」

そう思う人は多いはず。そこはさすがにFiiOも抜かりはなかった。

標準搭載されているのはGateron G Pro 3.0。工場出荷時にルブ済みで、軸のぐらつきも少なく、カスタムキーボード界隈でも定評のあるスイッチだ。黄軸はリニアタイプでスコスコとした軽快な打鍵感、赤軸はさらに軽いタッチで長時間タイピングに向いている。

しかもこのKB3、ホットスワップに対応している。つまり、自分で好きなスイッチに交換できる。KailhでもCherryでもAkkoでも、3ピン/5ピンのMX互換スイッチならなんでも挿さるから、打鍵感をとことん追い込めるのは純粋に嬉しい。

筐体はアルミ合金フレームで剛性感が高く、タイピング時の共振やビビりも少ない。プレートはポリカーボネート製で、Gateron黄軸との組み合わせはややマイルドな底打ち音になる。ガスケットマウントではないものの、打鍵音は意外なほど上品で、オフィスでも許容されるレベルにまとまっている。

DAC内蔵キーボードで音は変わるのか。音質を徹底チェック

本題はここだ。キーボードにDACを積むなんてギミックで終わってないか、音質面はちゃんとFiiOクオリティなのか。

結論から言うと、これはガチだった。

CS43131を2基搭載したDACアンプ部は、FiiOのポータブルDAC「KA1」や「KA3」に近い回路設計思想を持っている。つまり、ただのオマケではなく、独立したDACアンプ製品としても通用する中身が入っているわけだ。

3.5mm端子でも十分クリアな音を鳴らすが、本領を発揮するのは4.4mmバランス出力。音場がぐっと広がり、定位感が際立つ。ボーカルは前に出つつも刺さらず、低域はタイトで量感より質感を重視したチューニングになっている。FiiOらしいフラット志向で、モニター的なサウンドだ。

PCの内蔵オーディオや安価なUSB DACと比べると、ノイズフロアの低さが段違い。キーボード内部にオーディオ基板を仕込んでいる以上、電源ノイズや干渉が心配になるが、実測値でもS/N比はかなり優秀で、無音時のホワイトノイズはほとんど感じられなかった。

試しにSennheiser IE 200で聴いてみたところ、普段使いのデスク環境としては十二分すぎる音で、むしろ「このキーボードだけでいいじゃん」と思わされるレベル。DAPや据え置きDACと張り合うものではないが、PC作業のお供としては最上級の音体験を提供してくれる。

こんな人に刺さる。KB3がハマるデスク環境とは

FiiO KB3は万人向けのキーボードではない。だが特定の層にはクリティカルに刺さる製品だ。以下のような人には特におすすめできる。

  • デスク周りを極限までミニマルにしたい人
  • PCでハイレゾ音源を手軽に聴きたいが、DACを置くスペースがない人
  • メカニカルキーボードの打鍵感と高音質リスニングを両立したい人
  • 4.4mmバランス接続をデスクで使いたい人
  • ホットスワップ対応で自分好みにキーカスタムしたい人

逆に、ワイヤレス接続が必須の人や、テンキー付きフルサイズが好きな人、FPSなどで超低遅延が気になる人にはあまり向いていない。このキーボードはあくまで有線接続のみ。USBケーブル1本でキーボードとDACを兼ねるという思想だから、ワイヤレスにしたい人にはまったく合わない。

競合はいるのか。類似製品との比較

「DAC内蔵キーボード」というカテゴリ自体がほぼ存在しないため、直接の競合を挙げるのは難しい。あえて近い製品を探すなら、Dropの「Sense75」にDAC機能がついたらこんな感じ、と説明するとイメージしやすいかもしれない。

ただ、FiiOのオーディオ技術をまるごと注ぎ込んだ製品はこれだけだ。ガジェット好きの心をくすぐる唯一無二の存在として、KB3は異彩を放っている。

実際に使って感じた良い点と気になる点

良い点

デスクの配線が劇的に減る
キーボードとDACが一体化しているだけで、これほど机の上がすっきりするのかと感動する。マウスとキーボードとイヤホン、たったこれだけの構成で完結する美しさ。

音がとにかく良い
繰り返しになるが、4.4mmバランスの音は本物。普段は据え置きDACを使っている僕でも、作業中はこれで十分満足できるレベル。

キーカスタムの自由度が高い
ホットスワップ対応、MX互換スイッチならなんでも使える。しかもキーキャップも標準的なサイズなので、気に入ったキーキャップセットに交換する楽しみもある。

気になる点

価格が強気
日本での実売価格は2万円台後半から3万円前後。メカニカルキーボード単体として見ると高めで、DAC単体として見てもそれなりの価格。ただ「両方の機能を兼ねている」と考えると妥当とも言える。

ソフトウェアが非対応
キーマッピング変更用の専用ソフトウェアは用意されていない。ハードウェア的なマクロ機能もないので、キー配列のカスタマイズを重視する人は注意が必要だ。

US配列のみ
日本語JIS配列は用意されていない。英語配列に慣れている人なら問題ないが、JIS配列じゃないと困る人にはハードルが高い。

FiiO KB3はどんな人に最終的に推せるのか

ここまで細かく見てきたが、最後に一言でまとめるなら「わかる人にはわかる、ぶっ刺さるキーボード」だ。

FiiOの音作りを知っているオーディオファンが試したら、その利便性と音質のバランスに驚くと思う。逆に、キーボードとしてのガジェット性やビルドクオリティに惹かれた人が、オーディオの深みにハマる入口にもなり得る。

DACとしてもキーボードとしてもきちんと成立している。どちらかがオマケなのではなく、どちらも主役。この二刀流を高い次元でまとめ上げたFiiOの開発力には脱帽するしかない。

デスクをもっとスマートにしたい。でも音質は妥協したくない。そんなわがままを叶えてくれるのが、このFiiO KB3という唯一無二のメカニカルキーボードなんだ。

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