ワイヤレスイヤホンやヘッドホンを選ぶとき、「LDAC(エルダック)」という言葉を目にしたことはありませんか?
ソニーが開発したこの高音質コーデックは、Androidスマートフォンでは広くサポートされていて、「ワイヤレスでもハイレゾ品質の音楽が楽しめる」と注目を集めています。
でも、もしあなたがiPhoneユーザーなら、少し気になることがあるはず。
「iPhoneでもLDACって使えるの?」
この記事では、iPhoneとLDACの対応関係を、公式情報に基づいてわかりやすく解説します。あわせて、iPhoneで高音質な音楽を楽しむための代替手段も紹介するので、最後まで読んで自分に合った方法を探してみてください。
iPhoneはLDACに対応しているのか
結論から言います。
iPhoneを含むすべてのiOSデバイスは、LDACに対応していません。
これはNothingの公式サポートページや、Cambridge Audioなどのオーディオメーカーの公式FAQでも明記されている事実です。
「iOSデバイスはAACのみをサポートし、LDACなどの高品質コーデックをサポートしない」
(Nothing公式サポートより)
「iPhones do not support LDAC.」
(Cambridge Audio公式FAQより)
つまり、LDAC対応の高級ワイヤレスイヤホンを購入しても、iPhoneと接続するかぎりLDAC本来の高音質を体験することはできない、ということです。
LDACとはどんな技術なのか
そもそもLDACとは、ソニーが開発したBluetoothオーディオコーデックです。
通常のBluetooth伝送と比べて約3倍ものデータ量を送れるのが特徴で、最大990kbpsのビットレート、24bit/96kHzのハイレゾ音源に対応しています。
Android 8.0以降のスマートフォンでは標準でサポートされており、対応するイヤホンやヘッドホンと組み合わせれば、ワイヤレスでありながらCDを超える高音質を楽しめる――そういう技術です。
なぜiPhoneはLDACに対応していないのか
Appleはこれまで一貫して、自社のBluetoothオーディオにはAAC(Advanced Audio Coding)コーデックを採用しています。
AACも優秀なコーデックで、iPhoneとの親和性が高く、安定した接続とバランスの良い音質を実現しています。Appleとしては「AACで十分な品質が得られている」という判断なのでしょう。
また、iPhone 17シリーズが発表された後も、引き続きLDAC非対応であることが複数の専門メディアで報じられています。Appleがこの方針を変える兆候は、今のところありません。
一部で見られる「iPhoneでLDACが使える」という情報に注意
ネット上では「iOSアップデートでLDAC対応」といった噂や、古い予想記事がまだ残っていることがあります。
しかし、これらは公式に発表された事実ではありません。現時点でiPhoneでLDACを公式に使う方法は存在しないので、そうした情報に惑わされないよう注意してください。
LDACとAACの違いは何か
ここで、LDACとiPhoneが採用しているAACが、技術的にどのように違うのか簡単に整理しておきましょう。
| 比較軸 | LDAC | AAC(iPhone採用) |
|---|---|---|
| 最大ビットレート | 最大990kbps | 約320kbps |
| サンプリングレート | 最大24bit/96kHz | 一般的に16bit/44.1kHz相当 |
| 対応OS | Android 8.0以降 | iOS、Androidなど広く対応 |
技術的なスペックだけを見れば、LDACのほうがより多くの音楽情報をワイヤレスで伝送できることは明らかです。
ただし、音質の感じ方には個人差があります。高ビットレートのメリットをはっきりと感じる人もいれば、AACでも十分に満足できるという人も少なくありません。
また、LDACは最高品質の設定(990kbps)にすると、周囲の電波環境によっては接続が不安定になることもあります。AACはその点、安定して動作するというメリットもあります。
つまり、「LDACが絶対に上」と単純に決めつけるのは適切ではありません。自分の聴く環境や音楽ジャンル、重視するポイントによって評価は変わってくるでしょう。
iPhoneで高音質を楽しむための代替手段
LDACが使えないなら、iPhoneで高音質を追求する道はないのか――そんなことはありません。
ここからは、iPhoneユーザーが音楽をもっと良い音で楽しむための現実的な代替手段を紹介します。
有線接続を活用する(USB DACアダプター)
もっとも確実で効果的な方法は、有線接続に切り替えることです。
iPhoneにUSB DAC(デジタル・アナログ・コンバーター)アダプターを接続し、有線のイヤホンやヘッドホンを使うことで、Bluetoothを介さずに高音質な音楽を再生できます。
特にApple Musicではロスレス(24bit/48kHz)やハイレゾロスレス(24bit/192kHz)の音源が配信されています。これを活かすには、ワイヤレスではなく有線での再生が理想的です。
おすすめの選択肢:
- FiiOやiFi Audioなどのブランドから、iPhone対応のUSB DACアダプターが多数販売されています
- 価格は数千円から数万円まで幅広く、予算に合わせて選べます
- Lightning端子のiPhoneには「Lightning – USBカメラアダプター」経由で接続する製品もあります
注意点として、Apple純正の「Lightning – 3.5mmイヤホンジャックアダプター」はロスレス再生に対応していない場合が多いので、ハイレゾロスレスを楽しみたい場合は別途ハイレゾ対応のUSB DACを選ぶ必要があります。
AirPods MaxをUSB-Cで有線接続する
Appleのワイヤレスヘッドホン「AirPods Max」の第2世代(USB-Cモデル)は、USB-Cケーブルで有線接続することで、24bit/48kHzのALAC(Apple Lossless Audio Codec)によるロスレス再生が可能です。
つまり、iPhoneと有線でつなげば、LDACに匹敵する――あるいはそれ以上の高音質をApple製品同士で実現できるわけです。
- メリット:Apple製品との親和性が高く、ロスレス再生に対応している
- デメリット:価格が高め(約6万円台〜)
- 向いている人:Apple製品で統一していて、予算に余裕がある人
- 向いていない人:コストパフォーマンスを重視する人、ワイヤレスにこだわりたい人
あえてAndroidスマートフォンを検討する
「どうしてもLDACで聴きたい」という場合は、Androidスマートフォンを音楽再生専用機として用意するという選択肢もあります。
Android 8.0以降のスマートフォンならLDACに対応している機種が多く、LDAC対応イヤホンと組み合わせれば、iPhoneでは得られないワイヤレスハイレゾ体験が可能です。
とはいえ、これは「メインのスマホをAndroidに乗り換える」という大きな決断になるので、ハードルが高いのも確かです。
よくある質問(Q&A)
Q. iPhoneでLDACを使う方法は本当にないの?
A. 現時点では、公式には存在しません。AppleがLDACをサポートすると発表した事実もなく、複数の公式情報源で「iOSデバイスはLDACをサポートしない」と明記されています。アプリや設定の工夫で解決できる問題ではありません。
Q. LDAC対応イヤホンをiPhoneで使っても意味がないの?
A. 「LDACとしての高音質は活かせない」というのが正しい答えです。ただし、イヤホン自体のドライバー性能やチューニングが優れていれば、AAC接続でもそれなりに良い音で聴けることはあります。ただ、LDAC対応モデルに割高な料金を払う価値があるかは、よく考えたほうがよいでしょう。
Q. iPhoneでApple Musicのロスレスを楽しむにはどうすればいい?
A. 有線接続が必須です。USB DACアダプターを使うか、AirPods Max(USB-Cモデル)を有線で接続することでロスレス再生が可能になります。ワイヤレス(Bluetooth)のままでは、AACコーデックによる圧縮がかかるため、ロスレスの恩恵を完全には受けられません。
Q. 将来的にiPhoneがLDACに対応する可能性は?
A. 現時点では公式な発表は一切ありません。噂レベルで「Appleが独自の高音質ワイヤレスプロトコルを開発中」といった話が一部で出ることはありますが、これは未確認情報です。現実的な選択肢としては、現行のiPhoneではLDACが使えないことを前提に考えることをおすすめします。
まとめ:iPhoneで高音質を求めるなら代替手段を検討しよう
もう一度、この記事のポイントを整理します。
- iPhoneはLDACに対応していない(公式情報で確認済み)
- iPhoneのBluetoothコーデックはAACが標準
- LDACとAACには技術的な違いがあるが、音質の感じ方には個人差がある
- どうしても高音質を追求したいなら、USB DACを使った有線接続やAirPods MaxのUSB-C有線接続が現実的な代替手段
- LDAC対応イヤホンを買う前に、自分のiPhoneで本当に活かせるのかを冷静に判断することが大切
「iPhoneでLDACを使いたい」と思ったとき、まずはこの記事で紹介した事実をもとに、自分にとってベストな選択肢を考えてみてください。
ワイヤレスにこだわるか、それとも一歩踏み込んで有線の高音質を選ぶか――あなたの音楽ライフをもっと豊かにする方法がきっと見つかるはずです。

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